【北京発】日系ITベンダーが、中国のローカル企業向けビジネスに苦戦を強いられている。中国政府による国産IT製品の導入推進などによって、従来以上にローカルビジネスはやりづらい状況だ。中国コンピュータユーザー協会の陳正清・元理事長は、「外資系のメーカーは単独で戦うのでなく、ローカル企業と組んだうえでサービスを提供するやり方に切り替えることが有効だ」と指摘する。(真鍋武)

陳正清
元理事長
 中国の日系ITベンダーの多くは、ローカル企業向けの提案に意欲を示している。しかし、実際に成功している例は少ない。ニーズをきちんと理解できていなかったり、販路を築けていなかったり、受注後に売掛金をうまく回収できていなかったりと、課題は多い。

 とくに、エドワード・スノーデン氏による「PRISM事件」以降は、中国政府が国家安全保障の観点から、国産IT製品の導入を推進し、外資を政府機関の調達リストから除外するなどの措置をとっている。これに同調して、中国のローカルITベンダーも、“国産”製品であることを声高にアピール。日系ITベンダーが、自社製品を単独でローカル企業に提案する際には、“外資系”であることがネックになる。

 一方、陳・元理事長が指摘するように、ローカルITベンダーと協力して、彼らの製品・サービスと組み合わせたソリューションとして提供すれば、“外資系”の色は弱まるので、ローカル企業も導入しやすい。また、協業先を販路としても活用できる。実際、IBMなどは、ローカル企業との協業を加速させており、このやり方が外資系ITベンダーのローカルビジネスで、今後主流になる可能性が高い。

 また、外資系ITベンダーが獲得したローカル企業向けの導入事例は、中国コンピュータユーザー協会を通じて、広く周知できる。同協会は、製品カテゴリ・業界別に約20の分科会を抱えており、少なくとも約3000のユーザー企業が参加。協会は、中資系、外資系を問わず、優れたIT導入事例を発掘し、これを会員企業に紹介して、横展開につなげていくことをミッションとしている。とくに、中国政府の政策に沿ったIT導入事例を重要視しており、最近では、「両化融合」「互聯網+」「中国製造2025」などが重大テーマだ。陳・元理事長によると、「中国では、優れた賞を獲得していることよりも、口コミの方が、ユーザーの導入意欲に大きな影響をもたらす」という。

 また、外資系ITベンダーが、中国コンピュータユーザー協会に参加することも可能だ。現在、同協会には、特定ベンダーの分科会は存在しておらず、ITベンダーの立場としては参加できない。しかし、ユーザー企業の立場として参加すれば、表だって営業活動はできずとも、交流を通して、実際のユーザーのニーズを吸収し、自社の製品戦略に反映させられる。すでにSAPやデル、日立製作所などが、同協会に参加している。