MCEAホールディングスのPE-BANK(旧首都圏コンピュータ技術者、櫻井多佳子社長)は、不況に備えてプロジェクトを管理・運営できる人材クラスタ(集団)の育成に力を入れるとともに、育児・介護世代や地方在住者の多様な働き方の支援をより手厚くしていく。PE-BANKは個人事業主が集まる技術者集団で、PE-BANKのスタッフと個人事業主が案件を「共同受注」する全国でも珍しい事業形態を採っている。個人事業主は、柔軟な働き方ができる反面、不況時には収入にばらつきが出やすいリスクを抱える。そこで受注環境が良好な今のうちに「不況時でも乗り切れる人材クラスタの育成」(櫻井社長)に取り組んでいく方針だ。

櫻井多佳子
社長
 具体的には、システム開発プロジェクトのチームを取りまとめ、プロジェクトの成功をリードする人材を増やす。PE-BANKは、これまでにもJavaやCOBOLといった技術を切り口とした“強み”を前面に押し出し、顧客から選ばれる人材を育成してきたが「顧客が求めているのは、技術に長けているだけでなく、プロジェクトを取りまとめ、仕切れるスキル」(同)であることがわかってきた。

 PE-BANKは“プロエンジニア(PE)の人材バンク”である以上、ITの各分野の技術にすぐれた人材がいるのはむしろあたりまえで、顧客はそれにプラスαの部分を求めているのである。このプラスαの付加価値を伸ばしていくことが、景気の波の変動に強い人材クラスタの厚みを増すことにつながるというわけだ。PE-BANKではPEとしてのスキルと実績を兼ね備えた“ITディレクター”を提供する新サービス『DireX』(ディレクス)の運用を開始し、ブランド化を推進。直近ではウェブ制作のディレクターとして起用されるケースが多いが、これからは一段と多様なプロジェクトで起用されることを目指していく。

 現在のPE-BANK参加者は約2900人で、半年前に比べて約300人増えており、稼働率も「高水準で推移している」(同)とビジネスの成長は底堅いものがある。だが、第一線で活躍する中堅エンジニアは、年齢的に育児・介護と重なるケースが多く、家庭を優先するため個人事業主という働き方を選ぶケースも少なくない。女性比率は1割程度とまだそれほど高くないが、櫻井社長は「働き方の多様化はもはや社会の要請」と話す。

 櫻井社長が昨年9月にトップに就任してからは、個人事業主から仕事内容や働き方を聞き取る面談、実際の顧客への共同営業・受注するまでをPE-BANKの同一スタッフが担うように変えた。従来は面談と営業は組織を分けていたが、「これではどうしても個人事業主との距離ができてしまう」ことから廃止。実は、全国の支店では面談と営業は分けておらず、とりわけ関西支店を中心とした西日本地区では個人事業主と営業の距離が近く、仕事とのマッチングや働き方の多様化が非常にうまくいっていたことから、東京本社でも同じ方式を採用した。

 個人事業主のメリットを最大化し、リスクを最小化する取り組みに一段と力を入れていくことで、事業の安定成長を成し遂げていく方針だ。(安藤章司)