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カスペルスキー 日本の課題は「情報格差」にある 川合社長にインタビュー

2016/07/14 19:15

週刊BCN 2016年07月11日vol.1636掲載

 カスペルスキー(川合林太郎社長)の法人向けビジネスが好調に推移している。「約10年間にわたって日本で活動してきて、ようやく市場に受け入れられてきたと実感している」と、川合社長は日本市場でのビジネス展開の手ごたえを説明する。最近のビジネス状況や今後の方向性について、川合社長に話を聞いた。

 事業好調の要因としては、近年進めてきたディストリビューション網の強化がある。一昨年には、ディストリビューションパートナーとして、新たにダイワボウ情報システム(DIS)が加わり、「DISの全国に及ぶリセラー網だけでみても、ここ1、2年で4倍の成長を遂げた」という。また、今年3月にはネットワールドとディストリビュータ契約を締結したことで、ネットワールドによる法人向けエンドポイントセキュリティ製品のさらなる拡販を見込んでいる。

 また、近年は重要インフラ事業に力を入れており、5月に産業用制御システム向けのサイバーセキュリティサービス「Kaspersky Industrial CyberSecurity(KICS)」の提供を開始した。同サービスは、制御システム専用に開発した監視用ソフトウェアやエンドポイント保護製品、攻撃演習サービスなどで構成され、サイバー攻撃を原因とする工場の事業中断を防ぐ。また、法人向け事業においても、新たにインシデント対応やセキュリティ教育などの要素を盛り込んだ法人向けサービス「カスペルスキー セキュリティインテリジェンスサービス」を提供。「セキュリティ製品で対応できない部分を当社のインテリジェンスとサービスでカバーする」といい、包括的なサービスを提供することで、「総合的なITセキュリティソリューションベンダー」としての位置づけを高める考えだ。

川合林太郎
社長
 川合社長は、日本の課題について「情報格差」だといい、「世界的にみても日本のセキュリティ市場は米国、中国に次いで大きいが、エンドユーザーのセキュリティリテラシーが低く、製品を有効活用できていない」と話す。そこで、「われわれとしては製品提供だけではなく、セキュリティリテラシーを高めるための教育などにも力を入れている」と説明する。こうした背景も踏まえ、「当社のミッションは“IT上の脅威から世界を守る”こと。攻撃に対抗し得るテクノロジーの開発維持、警察機関との連携、セキュリティを運用する人に対するリテラシー教育。この三つの柱を軸にビジネスを展開することで、脅威にも対抗できるし、お客様の信用を裏切ることもない」と力を込めた。(前田幸慧)
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外部リンク

カスペルスキー=http://www.kaspersky.co.jp/