リンク(岡田元治社長)のベアメタル・クラウドサービスがじわりユーザー数を伸ばしている。2014年5月にサービスを始めて2年余り。直近のユーザー数は200社を超えるまで拡大してきた。ベアメタルは、一般的なパブリッククラウドサービスのように、サーバーを仮想化するのではなく、物理サーバーをクラウド方式で使えるサービス。サービス開始当初は、サーバー負荷の大きいソーシャルゲームや動画コンテンツ系のユーザーが多かったが、徐々に一般企業のユーザーも増え始めている。

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リンク
内木場健太郎
事業部長
 ベアメタル・クラウドの最大のメリットは、物理サーバー(ハードウェア)の性能をフルに引き出せる点にある。IoT/ビッグデータ分析、AI(人工知能)といったサーバー負荷の大きい業務アプリケーションが、一般企業でも使われ始める過程のなかで、再度、ベアメタルに注目が集まっているのだ。

 ゲームやコンテンツはサービスのサイクルが早く、かつリンクのもともとの顧客層でもあったため、ベアメタルのサービス開始直後から、従来のホスティング/ハウジングからの乗り換えがあった。一方で一般業務系の顧客はシステムのライフサイクルが5年以上と長く、「乗り換えの動きが健在化するまで時間がかかった」(リンクの内木場健太郎・ベアメタルクラウド事業部事業部長)とみている。

 「マーケティングにビッグデータ分析を活用したい」という顧客の要望に応えるかたちで、SIerやソフト開発会社(ISV)においても、使い勝手がよく、ハードウェアの性能をフルに引き出せるベアメタル需要が増大。リンクからみて「販売パートナー」となり得るSIerやISVからの引き合いも増えている。

 ベアメタル・クラウドサービスは、クラウドの使い勝手のよさを保ちつつ、ハウジング/ホスティングのように物理的な専用環境を入手できる「一挙両得」が売り。サーバー負荷がそこまで多くなければ、仮想サーバーを基本としたパブリッククラウドサービスで事足りるが、ビッグデータ分析をはじめとする高負荷のアプリーションが増える状況では、ベアメタルが有利となる。

 もうひとつ、情報漏洩を警戒して物理サーバーを好むユーザー層や、一部のデータベースやCADソフトの使用許諾上、仮想サーバー上で使えないケースもまだ若干数残っている。業種的には冒頭に触れたゲームやコンテンツ系に加えて、ネット広告業界で使われている広告配信システム/アドテクノロジー分野も、負荷が高いデータ解析を行うことからベアメタルへのニーズが大きいという。リンクのライバルとなるデータセンター(DC)会社のデータドックが、新潟県長岡に高規格DCを2017年10月をめどに竣工させるのも、こうした高負荷サーバーのニーズを捕らえてのことだ。

 リンクでは、ベアメタル・クラウドサービスの開始から5年で500社のユーザー獲得すると期初に計画していたが、受注が好調に推移していることから同800社へと上方修正している。(安藤章司)