【烏鎮発】11月16~18日、浙江省烏鎮で中国政府が主催する「第3回世界インターネット大会」が開催された。大会では、習近平国家主席が中国独自のルールを堅持したうえでインターネットの共同発展を進める方針を示したほか、海外の業界団体などが強い懸念を示している「サイバーセキュリティ法」について、中国政府の見解を示した。(真鍋 武)

 「世界インターネット大会」は、中国国家インターネット情報弁公室などの政府部門が主催する大会。インターネットの共同発展をテーマとした国際会議として位置づけており、中国主導でインターネット空間の国際的なルールづくりを進める狙いがある。例年通り、中国政府の高官に加え、アリババグループの馬雲(ジャック・マー)会長や騰訊(テンセント)の馬化騰・董事会主席兼CEO、百度(バイドゥ)の李彦宏CEO、レノボグループの楊元慶会長兼CEOなど、中国インターネット・IT企業の経営トップが結集。主催者発表によれば、世界110か国から約1600人が参加した。欧米からは、マイクロソフト、IBM、SAPなど、中国市場に大規模な投資を行っているIT企業や業界団体の幹部が参加した。

インターネットの共同発展について自説を展開する中国IT大手の経営者

 初日の開幕式では、習近平国家主席がビデオ演説し、「インターネット主権の理念を堅持し、グローバル・インターネットガバナンスの公正で合理的な目標への邁進を促す」と述べ、中国独自のルールを保持したうえで、インターネットの発展を進める姿勢を鮮明にした。「インターネット主権」とは、中国が提唱している、国家が独立してインターネット空間の管理を行い、他国からの干渉を受けないとする概念。中国のインターネット規制を主権として合理化するものだ。続いて挨拶した中国共産党中央政治局の劉雲山常務委員も、「インターネット主権の尊重を一項の基本原則とする」と強調した。

開幕式でビデオ演説する習近平国家主席

 中国では、インターネット規制の一環として、一般回線でFacebookやTwitter、Googleなどのサービスを利用できない状況が続いているほか、今年11月7日には、ネット犯罪や個人情報の保護を目的とした「網絡安全法(サイバーセキュリティ法)」が可決され、ユーザーの実名登録制や検閲が合法化された。同法は来年6月に施行されるが、外資を含むIT企業に対しても、国家安全のための犯罪捜査への技術的支援・協力などを義務付けており、曖昧な記述が多いことから、世界各国の商工会や業界団体が強い懸念を示している。現地の日系IT企業からは、「すべての条項を厳密に守らなければならないとすれば、ビジネスへの影響は大きい」、「中国の言い分で一方的にこのような法を押し付けられることは残念」といった声があがっている。

 これに対し、中国国家インターネット情報弁公室の徐隣主任は、大会の閉幕式で「サイバーセキュリティ法」について言及し、「(インターネットの)発展をよりよく促進させるためのもので、発展を制限させるものではない」と強調した。徐主任は、同法を制定した目的について、「サイバーセキュリティを保障し、インターネット空間の主権、国家安全、社会公共の利益を守り、公民・法人および、その他の組織の合法的な権益を保護するためだ」と説明。「立法を通じて、安全を保護するやり方も国際的な慣例だ」とした。さらに、「国際提携をよりよく推進させためで、貿易障壁をするのではない。どの国・地域、企業に対して打ち出したものでもない」と、外資規制を目的としていないことを強調した。

国家インターネット情報弁公室
徐隣主任

 また、大会では、「インターネット先端科学技術成果発表」と題して、すぐれたインターネット技術を展開する企業を発表した。中国国内外の33人で選考委員会を組織し、500社余りの申請から選出。IBM、アリババグループ、カスペルスキ―、マイクロソフト、百度、サムスン電子、テンセント、ファーウェイなど15社が表彰された。選出されたのは、いずれも中国の大手IT企業や研究機関、中国に大規模投資しているグローバルITベンダーだった。

 このほか、大会では初めてインターネット企業による展示会が開催され、約310社が出展。百度の自動運転車などが関心を集めた。一方、展示会を含め、日本の政府高官やIT企業の姿はみられなかった。