オービックビジネスコンサルタント(OBC、和田成史社長)が、本格的に「クラウドファースト」に舵を切っている。11月25日に、主力である基幹業務パッケージソフト「奉行10」の新しいクラウドモデルをリリース。これに先立ち、10月から12月初旬にかけて全国19会場で開催中のユーザー向けイベント「奉行フォーラム2016」も、クラウド一色の内容となった。同社は、販売パートナーの既存ビジネスモデルに配慮し、クラウド化、とくに基幹業務パッケージソフトのSaaS化は慎重に進めてきた印象だが、ここにきて新たな戦略を打ち出し始めている。

和田成史
社長
 奉行10の新クラウドモデルとしては、OBCとパートナーシップを結んだクラウドベンダーのパブリッククラウド上に販売パートナーが運用環境を構築する「奉行10クラウド(パブリッククラウドモデル)」のほか、OBC自身がAzure上で環境構築、運用、サポートまでを手がける「OBCクラウドサービス(オールインワンモデル)」をラインアップした。オールインワンモデルは、まさに奉行10のSaaS版といえよう。なお、パブリッククラウドモデルの対応クラウドベンダーは、日本マイクロソフト、アマゾン ウェブ サービス ジャパン、NTTコミュニケーションズ、IBM、ニフティ、NEC、ビッグローブの7社だ。

 このほか、小規模法人向けの「奉行J」シリーズも、年内にはSaaS版をリリースする計画だ。財務会計ソフトを中心に、基幹業務パッケージソフトのクラウド化は小規模法人向けの市場から進んでいる傾向があり、freeeやマネーフォワードといった新興ベンダーや、大手の弥生が熾烈な競争を繰り広げている。また、新興ベンダーは顧客ターゲットを中堅企業層にも拡大しようという動きを見せ始めており、彼らへの対抗策ともいえる一手だ。

 奉行フォーラム2016の会場でBCNの取材に応じた和田社長は、「Windowsの普及とともにOBCは大きな成長を遂げたが、クラウドはそれを超えるような大きな成長につながるビジネスチャンスをもたらしてくれる手応えがある。ユーザーにとっては矢継ぎ早にやってくる法制度改正への対応はクラウドアプリケーションのほうが楽だし、クラウドの強みを生かした業務アプリケーションはユーザーの生産性向上に大きく貢献できる」と話した。同社は昨年、ユーザー企業の従業員や個人取引先の個人番号を収集・保管する「マイナンバーサービス」をリリース。これを皮切りに、法・制度改正や社会環境の変化により発生する、従来の基幹業務システムの機能の延長ではカバーしきれない新しい業務を支援するクラウドサービス(SaaS)群「業務サービス」のラインアップを拡充してきた。こうした取り組みが一定の成果を得たことで、主力の奉行シリーズのSaaS化にも本格的に乗り出したといえそうだ。 (本多和幸)