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日本IBM 「次世代」のシステム開発をWatsonで高速・高品質を支援 人材不足の新たな対策に

2017/05/11 09:00

週刊BCN 2017年05月08日vol.1676掲載

 日本IBM(エリー・キーナン社長)は4月24日、システム開発向けの新しいソリューション群を発表した。高速化と高品質化を両立し、深刻化するIT技術者不足の新たな対策にしたい考えだ。日本発の取り組みとして、世界への拡大を目指す。

山口明夫
専務執行役員
グローバル・ビジネス・サービス事業本部
クラウドアプリケーション
イノベーション担当

 「翌朝のお客様への説明に備え、深夜までテストを繰り返している現実がある。これ以上、現場のエンジニアに負荷はかけられない」。同日の説明会で、日本IBMの山口明夫・専務執行役員グローバル・ビジネス・サービス事業本部クラウドアプリケーションイノベーション担当が、IT技術者の過酷な労働環境を説明した。

 背景にあるのは、IT業界での深刻な人材不足だ。経済産業省が2016年6月に発表した「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」によると、IT企業やユーザー企業の情報システム部門に所属する人材は、調査時点ですでに約17万人が不足していると推計された。厳しい状況は今後も続き、20年の不足数は約36万人、30年には約78万人に拡大すると予測されている。

 日本IBMも、人材不足には危機感を抱いており、「開発現場では技術力の向上やツールの活用などさまざま工夫が重ねられてきたが、既存の対策では限界に近づきつつある」と指摘し、「IT技術者不足はより一層深刻化することが予想されており、対策が急務になっている」と警鐘を鳴らす。

 さらに、システムの高度化や複雑化が進み、「人間だけでは制御できなくなりつつある」と分析。より早く、より安く、より高品質なシステム開発ソリューションを求める顧客の声を受け、打ち出したのが今回のソリューション群だ。
 

ソリューションの全体像

 ソリューション群は、計画やプロジェクト管理向けの「コグニティブPMO」と、アプリケーションの構築や保守・運用向けの「統合リポジトリー&ツール」で構成。開発領域を対象とする従来のソリューションとは一線を画し、対象範囲を計画から構築、保守・運用まで広げたのが特徴。導入により、プロジェクト管理コストを30%削減できるほか、アプリケーションのリリース時間を半減するなどの効果が期待できるという。

 山口専務執行役員は、「エンジニアの働く環境を改善できないか考えた」と強調し、「WatsonのAPIから提供されるさまざまな追加機能を活用し、お客様にも、弊社のメンバーにも、ベンダー各社にも利用してもらえるシステムに育てていきたい」と意気込みを語った。(廣瀬秀平)
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外部リンク

日本IBM=http://www.ibm.com/ibm/jp/ja/