【上海発】NTT DATA(中国)が、中国国内での存在感を着実に高めている。今年4月には、中国国際投資促進会が主導する「十大在華跨国服務供応商(2016年)」に初めて選出された。同賞は、すぐれた品質のサービスを提供する企業を、中国商務部と中国国際投資促進会、Gartner、IDCが調査・評価・選出するもので、NTT DATA(中国)は日本企業で唯一の受賞となる。松崎義雄総裁に、直近のビジネスの状況について聞いた。

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東京理科大学理学部を卒業後、1986年4月に日本電信電話に入社。88年7月にNTTデータ通信(現NTTデータ)に転じ、96年3月に香港支店担当課長、99年7月に秘書室課長を務めた。2001年2月に辞職したが、09年1月に再入社し、その後はグローバルビジネスを担当。12年7月、NTT DATA(中国)の総裁に就任。


――このほど「十大在華跨国服務供応商」に初選出されました。中国国内でのプレゼンスが高まっている証しといえますが、実際のビジネスの状況はいかがでしょうか。

松崎 アグレッシブにオーガニック成長しています。ビジネスの方向性は以前と変わらず、欧米系のお客様を中心に開拓するとともに、日系のお客様をサポートしていますが、最近では、欧米系企業での実績を聞きつけて、中国の地場のお客様から仕事をいただくケースが増えてきました。「十大在華跨国服務供応商」に選出されたのは、こうした中国企業向けビジネスの広がりが評価につながったものと考えています。

 ただし、私個人としては、中国でNTTデータの認知度がそれほど高まっているとは思っていません。確かに、欧米系企業の特定分野向けでは、ようやくグローバルプレイヤーの1社として認知されるようになってきましたが、中国ITサービス市場全体では、まだまだこれから。当社は、挑戦者の立場です。

――最近の顧客ニーズや市場の動きは、どのように捉えておられますか。

松崎 欧米系はコンスタントにお客様が増えていて、ドイツの自動車メーカーとは継続的におつき合いしていますし、流通・サービス業などにも層を広げていますが、やはり中国を市場として捉える動きが加速している印象を受けます。中国は他の国と比べて、とくにフィンテック分野が活発で、モバイル決済やその周辺のアプリケーション開発が非常に盛んですが、当社でもモバイルを活用したデジタルマーケティングのニーズが増えています。また、市場の変化が早い国ですから、デジタル変換に向けた動きも活発で、IT技術を使ってビジネスをどう進化させるべきか、どうイノベーションを起こすべきかといった相談がすごく多いですね。

 一方、日系のお客様向けビジネスでは、投資の波が激しくて、過去数年は落ち込んでいましたが、昨年から今年にかけては、IT投資が非常に活発になっています。

――事業が着実に伸びている一方で、どんなことに課題感を抱えていますか。

松崎 デリバリ体制がまだ十分でないことですね。お客様の変化の速さに対応することはもちろんですが、物理的な数という意味でも、市場やIT投資の伸びに対応できるスピードで人員確保が追いついていません。とくにお客様業界の経験者を欲しているのですが、こうした人材は簡単には集められないのが実情です。安定した人材の確保は、長年の課題ですね。離職率の低減や、社員のスキルアップなど、常に手を打っていかなければなりません。

――今年7月に、本社の組織機構の変更で、新たに「中国・APAC事業本部」が設けられました。中国の国内ビジネスという観点では、どのような効果を見込んでいますか。

松崎 日本側の組織が変わったことで、とくに日系のお客様向けビジネスでの組織的な連携がしやすくなるという期待があります。一人の役員(山口重樹・取締役常務執行役員)が、中国・APAC分野担当と日本の法人・ソリューション分野を跨って担当しますので、連携のしやすさは以前よりもはるかに高まります。

 オファリングの観点でも、日本の法人・ソリューション分野の持ち味である決済系ソリューションやSAP関連を中国に展開しやすくなります。「支付宝」「微信支付」などのモバイル決済が浸透している中国では、決済の仕組みそのものを提供するビジネスは難しいですが、例えば、日本のインバウンド需要に対応するような関連ソリューションの商機は大きいと思います。ここは、日本との連携が生かせる領域です。

――松崎さんが掲げる中長期的な目標について改めて教えてください。

松崎 やはり、中国国内ビジネスを、早期にオフショア開発事業を超える規模にすることですね。当社グループの他リージョンと比べると、中国の事業規模は小さくて、以前は目に見えない塵ほどしかありませんでした。これが、ようやく少し目に見えるくらいの規模感になってきた。今度は、きちんとかたちのある“モノ”にしていきたい。(売上高の)桁数を、二つ大きくするくらいの気持ちで尽力していきます。

――ありがとうございました。