イノベーションは躍動性から生まれる

 内田洋行(大久保昇社長)が、全国で「内田洋行 IT Fair 2017」を展開している。食品業・物流業、福祉分野を中心とする中堅・中小企業の顧客向けに、IoT、AI、RPAなどの生産性向上を高めるICTの最新動向を発信するほか、中堅・中小企業で注目度が高まっている「働き方改革」をテーマにしたプログラムを用意した。

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平山信彦
執行役員
知的生産性研究所
所長

 内田洋行では、働き方をみつめなおす「働き方変革」に早い時期から取り組んでいる。1989年に社内研究所として「知的生産性研究所」を設立し、そこから約30年間、調査、研究を続け、働き方変革を追求してきた。2010年には、働き方変革のコンサルティングサービスを提供する「Change Working」をスタート。17年4月までに150件以上の案件を手がけてきた。こうした実績、ノウハウをもつ知的生産性研究所の所長である平山信彦執行役員は、「最近、働き方改革としてソリューションや制度を導入する動きがある。しかし新しいツールがあっても、社員がこれまでのルーチンを変えなければ変革は起こらない」と話し、社員の変革が重要であるとした。

 平山所長は働き方変革の狙いとして「経営と社員の二つのハピネス」とした。経営のハピネスとは、勝ち残れる柔軟で強靭な組織のことで、これはどの経営者も目指しており、理解がしやすい。しかし、日本企業で失念しがちなのが「社員のハピネス」だ。平山所長は「社員が実感できる成果、つまりハピネスを感じないと長続きしない」といい、社員とのエンゲージメント強化は、重要な経営課題だとした。

 働き方変革の評価軸でも同様の点を強調した。評価軸とは、働き方変革を実施していくなかで、施策を評価するためのものさしで、内田洋行では「創造性の向上」「効率性の向上」「躍動性の強化」の三つで構成される、としている。このなかで重要なのが、三つめの躍動性だ。躍動性とは元気な組織であるかどうかを評価する項目で、「社員が自分のジョブ以外に興味がない、また社員に対する評価が減点法であるとイノベーションが起こりにくい」と平山所長は解説する。とくに減点法の評価は、社員が委縮してしまい、新しいことに取り組む意欲が湧いてこないという。

 他人のジョブに対する関心については、「イノベーションは身近で起こる。身近にあるものを組み合わせて磨き上げることでイノベーションが生まれる」(平山所長)といい、広い視野をもち、多くのジョブに触れることで、イノベーションが生まれやすくなると説明した。

 24年には新卒社員が希少な存在になり、職場の半数以上が50代以上に、さらに女性、外国人が活躍する時代がやってくるという。多様な価値観、言語が混在し、過去の経験則をベースにもの事を判断する仕事はAIが担う。そのとき、イノベーションを起こすことができる人材が重要となる。(山下彰子)