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渡敬情報システム 応研の「大臣エンタープライズ」でERPビジネスが成長

2018/04/05 09:00

週刊BCN 2018年04月02日vol.1721掲載

自社グループ案件のアドオンを水平展開

 渡敬情報システム(渡部尚男代表取締役)は応研の中堅企業向けERP「大臣エンタープライズ」のパートナーとしてビジネスを拡大している。事務機販社である親会社の渡敬が、基幹システムのリプレースで大臣エンタープライズを採用。この案件で構築したアドオンを事務機販社向けの汎用機能として水平展開できるようになったことが、商機を拡大する転機となった。

課題が多い
事務機販社の販売管理

 渡敬の従来の基幹システムはAS/400で構築・運用されており、約10年前からパッケージ製品でのリプレースの機会をうかがっていた。しかし、販売管理でなかなかフィットする製品がみつからず、先延ばしになっていた。これには、事務機販社特有の事情が影響したという。渡敬情報システムの藤原弘樹・常務取締役は次のように説明する。

 「販売管理システムはいろいろな案件を手がけてきたが、事務機販社が一番難しいというか、面倒。まず、とにかく取り扱う商品の幅が広い。1本100円程度のボールペンから数百万円の情報システム関連製品、複合機まで、価格の差も大きい。場合によってはサーバーを構成する部品群を個別に仕入れてお客様への請求書では一つの製品として計上しなければならないこともあり、仕入と販売を1対1ではなく、n対nで正確に紐づくように管理する必要もある。また、売り切りのフロービジネス型の製品とサブスクリプションサービスで提供するようなストックビジネス型の製品も混在している。仕入先、メーカーとのやり取りに昔からの独特の風習もあるし、顧客も業種や産業分野を問わないため、非常に多くの種類の帳票を作成しなければならない。扱う商材そのものやその販売形態、顧客の属性など、さまざまな軸で幅広いビジネスを展開しており、これらを同時にきちんとカバーできる販売管理ソフトというのは見当たらなかった」。

 しかし、もともと応研の大臣NXシリーズのパートナーでもあった同社は、2013年の大臣エンタープライズ発売に先駆け、応研から同製品の情報を入手。大臣エンタープライズを使えば、事務機販社特有の課題を解決できる販売管理システムを構築できると考え、渡敬への導入を提案したという。

柔軟かつ容易に
カスタマイズ可能

 藤原常務が大臣エンタープライズを高く評価するのは、アドオン開発した機能をプラグイン方式で標準機能に簡単に差し込める点。「事務機販社特有の複雑な要求に対応するためのカスタマイズを、柔軟かつ容易に実現できたのは大きかった」と話す。さらに、多様な帳票フォームを用途に応じて何種類もつくることができる点も大きな魅力だったという。「受注、入荷、仕入、売り上げの状態がリアルタイムで把握できるようになり、売上見込みの管理が格段に精緻化できた。また、見積もりから受注に至る処理をExcelで管理していた頃と比べて、格段に業務効率が向上した」と藤原常務は話す。

 渡敬情報システムは大臣エンタープライズにより親会社の基幹システム刷新プロジェクトを成功させたが、このプロジェクトは同社のビジネスに大きな副産物も残した。アドオン開発した機能を、大臣エンタープライズの事務機販社向けソリューションとして水平展開することに成功し、ERPビジネスが成長したのだ。藤原常務は、「もともと販売管理でどこの事務機販社も苦労しているのは知っていたので、アドオンを水平展開できるのではないかという心づもりはあった。大臣エンタープライズのパートナーイベントなどで発信したところ、思った以上の反響があった。国内のどの地域でも、事務機販社の困りごとには共通点が多いことがあらためてわかった」と話す。

 応研の末永徹・大臣エンタープライズプロジェクトリーダーも、「渡敬情報システムズのように、事務機販社ならではの業務の課題に関する知識とSIの技術を両方もっているパートナーは少ないが、多くの事務機販社にとって有益なソリューションをつくってくれた。このほかにも業界・業種特化の課題解決に役立つソリューションをパートナーと連携して多数ラインアップし、大臣エンタープライズのエコシステムを拡大していきたい」としている。(本多和幸)
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外部リンク

渡敬情報システム=https://www.wisco-wp.jp/