モバイルコンピューティング推進コンソーシアム(MCPC、安田靖彦会長)は、国内初となる量子コンピュータの活用を推進するためのワーキンググループ「量子コンピュータ推進WG」を設立し、5月から活動を開始した。

 同WGは、基礎研究などに取り組むサイエンス領域から、量子コンピュータやシステムの開発に取り組むエンジニアリング領域、ユーザーとして活用するビジネス領域まで、各領域横断となるメンバーが揃っており、単なる勉強会で終わらせるのではなく、実運用を強く意識したワーキンググループとなっている。

 「国内の大手メーカーが久しぶりに揃った。さらに研究機関や通信キャリアに加え、ユーザー企業も参加しているため、ビジネスの課題解決に量子コンピュータを活用するというゴールを明確にした取り組みができる」と、量子コンピュータ推進WG主査の柏山正守氏は語る。

 MCPCは、モバイル関連だけでなく、コンピューティングの視点からさまざまな分野に取り組んできている。近年は、AI&ロボット委員会やIoT委員会など、時代のトレンドを強く意識したテーマで活動している。量子コンピュータ推進WGは、AIとの親和性を考慮し、AI&ロボット委員会内に設置した。AI&ロボット委員長の森山浩幹氏は、「AIでは海外に押され気味だが、量子コンピュータでは基礎研究や製品開発が進む日本がリードする可能性がある。量子コンピュータに対する日本の取り組みを世界へ発信していくためにも、大きな成果を意識したゴールを設定して取り組んでいく」と、意気込みを語る。

 量子コンピュータの開発は、国内勢では富士通やNEC、日立製作所、NTTなどが取り組んでおり、なかでもアニーリングマシン分野では富士通がサービス提供を開始するなど、日本のメーカーが世界をリードしつつある。アニーリングマシンは、組み合わせ最適化問題の計算という活用方法がみえている。アニーリングマシンを利用できる環境が整いはじめたことから、金融や製造、流通、製薬など、ユーザー企業の関心も高まってきた。量子コンピュータ推進WGは、こうした企業の参加を呼び掛けていく考えだ。「新しい分野を盛り上げるには、さまざまな分野の交流が欠かせない。交流によって、新たな知恵が生まれるし、イノベーションへとつながっていく」と柏山氏。なお、まずはアニーリングマシンを対象とするが、将来的には量子ゲート方式も視野に入れる予定である。(畔上文昭)
 
MCPCの量子コンピュータ推進WG主査の柏山正守氏(右)、
AI&ロボット委員長の森山浩幹氏