中国政府が、農村部の発展に向けて、ITの活用に力を入れている。李克強首相が主宰する国務院常務会議は6月27日、国家戦略の「インターネット+(プラス)農業」について議論し、農業分野でITの応用をより一層加速させる方針を確認した。中国国内の都市では、農業IoTの大規模な拠点を整備する計画が上がっており、盛り上がりは拡大する見通しだ。

 中国政府は2016年、インターネットを用いて農業の発展を目指す「インターネットプラス農業」の行動計画を策定。計画期間を3か年と定め、「農業のオンライン化とデータ化を進展させ、効率の高い管理と簡単・迅速なサービスの実現を目指す」(16年5月13日付中国網日本語版)ことを目標に掲げた。

 中国では、都市部と農村部の格差は、今なお大きな課題になっている。李克強首相は3月の全国人民代表大会(全人代)で「都市・農村間および地域間の発展の格差と所得分配の格差が依然としてかなり大きい」と認め、「『インターネットプラス農業』を発展させ、多くの方途で農民の収入を増やし、農村における第一次・二次・三次産業の融合発展を促す」と述べた。

 中国国営の新華社通信によると、6月27日の国務院常務会議では、農業IoTの試験範囲や規模を拡大し、構築した重要農産物に関するビッグデータを農地の管理や病害虫の予防・駆除などに役立てることを決定。農村部の所得向上に向けて、インターネット通販企業と小規模農家、家庭のつながりを強化したり、農村部のブロードバンド網をさらに強化したりすることも決めた。

 中国の場合、中央が旗振り役となり、中央からの支援を受けた地方政府と企業が同じ方向を目指して市場を切り開いていくことが多い。農業分野も同様で、中央だけでなく、すでに地方政府と企業も動き出している。

 6月27日付新華社電は、ビッグデータの産業化を進めている南西部の貴州省が20年までに「農業企業500社以上のビッグデータ、クラウドコンピューティング、人工知能(AI)との深い融合を実現し、最適化や統合により50か所の大規模農業IoT拠点をつくる」と報道。農業企業200社による品質追跡システムを構築するほか、村レベルでインターネット通販のサービスステーションを1か所建設することも目指しているとした。

 一方、中国のIT大手阿里巴巴集団(アリババグループ)は6月7日、農業向けAIプラットフォーム「ETアグリカルチュアル(農業)・ブレイン」の立ち上げを正式に発表。上海市で取材に応じたクラウド事業を統括する胡曉明総裁は「アリババにとって、農業は重要な戦略の一つだ」と強調した。