NECは国内DX支援事業の体制を強化する。同事業の担い手となり得る社内の「デジタル人材」は現在5000人程度だが、2025年度(26年3月期)までに1万人規模に拡充する計画を明らかにした。また、グループ会社のアビームコンサルティング(アビーム)と連携して目的別や業務別のDX支援メニューを拡充し、提供体制も整備するとともに、ハイパースケーラーとグローバルレベルで協業を進め、DX支援のためのプラットフォームも強化しているという。森田隆之社長兼CEOは「これからのNECの成長の中核を成す事業で具体的な戦略が実行段階に入った」と手応えを語った。
森田隆之 社長兼CEO
今年4月に就任した森田社長は5月に中期経営計画を発表し、25年度までの5カ年計画で売上高3兆5000億円(20年度実績は2兆9940億円)、調整後営業利益3000億円(同1782億円)、EBITDA4500億円(同2958億円)などを目指すビジョンを掲げた。NECが「コアDX」と呼ぶ国内のDX支援事業はこの目標達成の鍵を握る成長事業と位置付けられており、中計では売上高5700億円、調整後営業利益率13%という目標が設定されている。
コアDXをリードする吉崎敏文・執行役員常務は「ビジネスプロセス、テクノロジー、組織・人材の面でNECの強みを生かした強化ができつつある」と話す。NECはこの1年間で7業種50社以上からDXのリファレンスづくりにつながる案件を獲得し、これらの経験を基にサービスラインアップや体制を整理。働き方改革やIT基盤のモダナイゼーション、スーパーシティなどの実現を支援するDXオファリングメニューを追加したほか、200人のDX戦略コンサルタントとアビームの人的リソースを連携させ、上流の構想策定からシステムの実装・運用、DXの実践まで一気通貫で顧客を支援できるコンサルテーション体制を整備したという。
デジタル人材の倍増計画は、主に社内人材のリスキリングにより賄い、25年度で1万人という目標を達成したい意向。また、社内で実践している人材育成プログラムを「NECアカデミー for DX」として9月から顧客にも提供している。社外のビジネスエコシステムについても向こう3年間で6000人のデジタル人材育成を目指す。(本多和幸)