大塚商会は8月24日、東京・千代田の帝国ホテルで「創業60周年感謝会」を開催した。当日は事前に抗原検査を実施するなどの徹底した新型コロナウイルス感染症対策のもと、500人以上の業界関係者やビジネスパートナーが参加し、同社の節目を祝った。
創業60周年は2021年だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で感謝祭の開催を1年延期した。大塚裕司社長はあいさつで経緯を説明するとともに、集まった関係者の長年にわたるサポートに感謝の言葉を述べた。
大塚商会の大塚裕司社長
創業当時を知る人物は現在では大塚社長のみとなった。「父(故大塚實氏)が前職の退職金と生命保険の解約金で立ち上げた会社で、幼かった私は電話番をしていた。しかし、かかってくるのは間違い電話だけだった」と思い出話を感慨深げに語った。
「サービスに勝る商法はなし」は大塚商会の創業時からの理念として有名だが、大塚社長はそれに通じるエピソードとして實氏の「お客さまとの縁が切れないコピーは良いビジネスだ」という言葉を紹介。苦労も多かった實氏が「社員に喜ばれ、社員が誇りとし、社員が家族から感謝される会社を創る」という社訓に行きついた心境を推察した。
リコーの山下良則社長
来賓として登壇したリコーの山下良則社長は「大塚商会とは50年以上の付き合いになるが、まさに最強のパートナーだ」と語り、膝と膝を突き合わせて関係を構築してきた過去を振り返った。また、「中小企業の変革を支える責任がある」という大塚社長の言葉を紹介し、「リコーも同じビジョンのもと、ともに日本経済を支えていきたい」と語った。
NECの森田隆之社長
NECの森田隆之社長兼CEOは感謝祭の冒頭に流れた60周年を振り返る映像に触れ、「創業のにおいに酔った。短期的な利益に捉われない長期的なビジョンに感服する」と讃えた。さらに「両社のパーパスやミッションステートメントには共通する部分が多い。これからも同じ方向を向いてビジネスを進めていきたい」とコメント。「先行きが不安な時代の中でこそ、60年で培った人材と伝統を生かしていただきたい」とエールを送った。
創業60周年感謝会の様子
大塚商会は1961年に創業し、複写機ビジネスを展開。東京や大阪に支店を開設し、事業を拡大する。70年にオフィスコンピュータ(オフコン)事業に参入。76年にNECと取引を開始。同社のディーラーとして存在感を高め、81年にはパソコン・ワープロ事業にも進出する。
90年代にはバブル崩壊によって立て直しを迫られるが、当時常務だった大塚社長の指揮する「大戦略プロジェクト」を軸に盛り返し、99年にはオフィスサプライ通信販売事業「たのめーる」を開始。00年には東証第一部に株式上場する。
01年に裕司氏が代表取締役社長に就任。翌年に「ミッションステートメント」を制定し、新しい大塚商会の方向性を定める。08年にはライオン事務器と業務・資本提携し、たのめーる事業を拡充。現在は中小企業のDX支援に注力している。(大蔵大輔)