OKIは、サービスロボットを統合運用するプラットフォーム「REMOWAY(リモウェイ)」を発表した。見回り警備や清掃、点検の人手不足を緩和するのが狙い。REMOWAYには、あらかじめ決めた行動計画をもとにロボットを自動で動かせるほか、「点検する」「写真を撮る」といった機能別のモジュールを実装。ロボットを操作する管制センターの担当者の負担を大幅に軽減できるのが特徴だ。
前野蔵人 センター長
サービスロボットは、同一メーカーで少数台運用する分には運用上の問題は表面化しないが、大規模なビルや施設で、数十台、数百台規模のマルチベンダーで運用するケースでは「いかに効率よくロボットに指示を与えて、統合的に運用するかが大きな課題になる」(前野蔵人・イノベーション推進センター長)という。
エレベーターとロボットを遠隔操作して階をまたがって移動させる
R E M O WAYは、▽人とロボットが協調して作業する▽高度遠隔運用が可能な通信ネットワーク▽1人のオペレーターが複数台のロボットを統合運用する―の3点を実現することで、課題解決につなげる。
人とロボットの協調では、例えばビルの見回り警備中に人がうずくまっていたり、倒れたりしているような異常事態を画像認識AIで認識し、オペレーターに通知。オペレーターは、近くにいる警備員が持っている端末に現場の座標を送り、駆けつけるよう指示を出すことを想定している。
管制センター装置の構築例
現状のサービスロボットでは、手動式の扉や段差がある所では運用できない。そうした現場では人が対応する必要があり、警備員の業務とロボットが協調する機能が必要になっている。
OKIが開発している各種用途のサービスロボット
通信ネットワークでは、Wi-Fiや5Gといった無線技術を駆使するとともに、クラウドを経由してエレベーターや防犯カメラ、センサー機器と連携する機能を実装した。また、ロボットが階をまたがって移動するには、エレベーターとの連携が必須で、エレベーターの遠隔操作システムとREMOWAYをクラウド経由でつなぎ、「REMOWAY側からエレベーターとロボットを制御して階の移動を可能にした」(伊藤真弥・イノベーション推進センタービジネス推進部担当部長)。連携機能の開発ではエレベーターメーカーと協業している。
伊藤真弥 担当部長
警備や清掃などの現場では、人手不足から新規受注を見送るケースも出てきており、サービスロボットの活用によって「売り上げの機会損失を減らす」(伊藤担当部長)効果が期待されている。人手不足が根底にあるため、少人数でできるだけ多くのロボットを効率的に運用できる機能を充実させた。こうした取り組みによって、REMOWAY関連事業を向こう数年で年間数十億円規模のビジネスに育てていく。
(安藤章司)