パナソニックコネクトと大阪公立大学は12月1日、教育現場における子どもの潜在的なSOSの早期発見と適切な支援を実現する「YOSS(ヨース)クラウドサービス」の提供を開始した。児童生徒の状況や行動を点数化した上で支援の必要性を抽出し、支援の方向性を提案する。両者は全国の教育現場への導入を目指す。
YOSSは「Yamano Osaka Screening System」の略。2018年に大阪公立大の山野則子教授らが開発した手法で、教員らが児童生徒の欠席日数や行動、身だしなみ、家庭環境などの情報をスクリーニングシートに点数式で記入することで、いじめや虐待、家庭の経済的問題など、子どもが置かれている状況を客観的に把握し、支援の必要性を判定する。指標を基にチームで対応の方針を決められることもあり、教員が問題を一人で抱え込むことを防ぐ効果もある。全国の33自治体211校が導入し、不登校の減少、遅刻早退の改善などにつながっているという。
パナソニックコネクト 中村誠吾 部長
新サービスは、パナソニックコネクトの知見を生かし、YOSSの仕組みをクラウド上に構築した。クラウド化によってカウンセラーらとの情報共有がより容易となったほか、学校外の地域や専門機関との連携にも役立てられる。蓄積されたデータは大阪公立大が活用し、研究成果を教育現場に還元していく。
パナソニックコネクトは、教育向けのICT機器・システムの開発や設置・運用・保守などを手掛けており、このチャネルを生かして全国へ展開していく。同社の中村誠吾・現場ソリューションカンパニー西日本SE部部長は「より多くの学校で、より多くの指導者に使ってほしい」と語った。
(大向琴音)