NTTデータは、NFT(非代替性トークン)技術を使い文化財の保護を目的とした支援プラットフォーム(PF)の事業化に乗り出す。図書館や美術館は支援者による寄付などに支えられることが多く、支援者が何らかの支援活動をした証明としてNFTを活用する。NFTによって証明することで、例えば税金の控除申請に使ったり、第三者の支援者に向けた証明に活用したりすることを想定している。今年2月から3月にかけて行った実証実験の成果に基づいて、本年度(2024年3月期)から国内外での事業化を本格的に推進する。
長谷部旭陽 課長
実在の複合商業施設では、施設内にある映画館で映画を観て、その半券を施設内の飲食店に持っていくと割引サービスを受けられるケースがある。今回、NTTデータが事業化を目指す文化財支援プラットフォームは、これと同様の仕組みをデジタル空間で実現するもので、「映画館の半券をデジタル的に再現するのがNFTによる証明プラットフォーム」だと、長谷部旭陽・デジタルソリューション統括部営業企画担当課長は話す。
実証実験は、デジタルアーカイブ事業でNTTデータと関係が深いバチカン教皇庁図書館(バチカン図書館)の協力を得て実施した。支援者がSNSで実証実験を告知するとNFTが発行され、これを基にバチカン図書館の限定コンテンツを閲覧できる仕組みとし、「400人余りが参加して、有効性が確認できた」(長谷部課長)という。
NFTを採用したのは、「特定のベンダーに依存しないオープンな技術である」ことを評価したからだ。NTTデータはバチカンやASEANなど国内外の図書館や美術館、博物館の収蔵品のデジタルアーカイブを手がけており、こうした文化財をより多くの人に知ってもらい、支援コミュニティーの活性化を通じて、寄付などの支援体制をデジタル空間上に構築するプラットフォームとして活用してもらうよう働きかけていく。
(安藤章司)