AIを活用した契約書レビューサービスなどを提供するLegalOn Technologiesは、2022年11月にSB C&Sとディストリビューター契約を、23年3月に電算システムと販売代理店契約をそれぞれ締結し、間接販売を開始した。2月に大阪と名古屋に新たな拠点を開設するなど、自社の営業体制も強化しており、直接販売と間接販売の両軸で顧客獲得を進める。LegalOn Technologiesの角田望社長は「当社は『法とテクノロジーの力で、安心して前進できる社会を創る。』というパーパスを掲げている。販売チャネルを広げ、多くのお客様にプロダクトを届けることで、パーパスの実現を目指す」と意気込んでいる。
(岩田晃久)
角田 望 社長
同社は、自然言語処理などの技術を活用し、契約書をアップロードするだけで、契約リスクや条項の抜け漏れの洗い出しをサポートするAI契約審査プラットフォーム「LegalForce」と、締結済みの契約書をアップロードすると、契約管理に必要な情報をAIが抽出、管理台帳を自動作成する契約管理システム「LegalForceキャビネ」をSaaSで展開している。「大手企業から中小企業まで必ず契約業務は発生するので、パートナーにとっても提案しやすい商材」(角田社長)なのが特徴だという。
SB C&Sは、クラウドサービスの契約管理を行うプラットフォーム「ClouDX」を提供しており、同プラットフォームで、LegalForceとLegalForceキャビネを販売する。LegalOn Technologiesは、SB C&SのSaaS専任チーム「Cloud Service Concierge」と連携し、マーケティングから販売までの強化にも取り組む。導入後は、LegalOn Technologiesが各種サービス・サポートを提供する。
角田社長は「間接販売の検討を開始した時期にSB C&Sから声が掛かった。SaaSの流通に関するさまざまな仕組みやノウハウを持っているため心強い」と話す。同社が保有する全国の販売網を活用して拡販を目指す考えで、既に販売実績が出ていると説明する。
電算システムは、3000社以上にクラウドサービスを提供するなど豊富な実績を持つ。今回の協業を通じて、顧客に対して契約業務のデジタル化を支援していくという。角田社長は「販売代理店の取り組みはスタートしたばかりで、手探りの部分もある。電算システムと一緒にチャレンジしていく」と語る。
LegalOn Technologiesは、今後も間接販売の強化を図るため、パートナー専門の営業組織を新たに設けた。パートナープログラムの整備やフォロー体制の強化などに着手し、販売しやすい体制を整えてパートナーを開拓する。
SaaSベンダーの多くは、直接販売をメインの販路にしている。同社も創業以来、Webやマス広告などを活用したマーケティングを積極的に展開。直接販売でLegalForceを2500社以上に、LegalForceキャビネを800社以上に導入してきた。
角田社長は「直接販売だけで成長率を維持していくには、組織を常に大きく拡大していかなければならず、それが持続的なのかという疑問がある」とし、「間接販売により、パートナーの持つリソースやネットワークを生かす仕組みづくりをしていくことが成長率の維持につながる。ベンダーとして、いいプロダクトをつくり差別化を図っていくことに加え、投資も行い、パートナーに取り扱ってもらえるようにしたい」と展望する。