VAIOは3月29日、会見を開き、14インチと16インチの個人・法人向けノートPCの新製品を発表した。「WindowsPCの定番を目指す」(山野正樹社長)ことを掲げ、個人向けの最小構成で13万円台と価格を抑えながらも、VAIOが得意とするハイエンド機種で培ったノウハウを盛り込み、品質を高めた。法人向けは低価格帯の需要を積極的に取り込む狙いで、山野社長は新製品を核に間接販売の比率を高めていく考えを示した。発売は6月を予定する。国内シェアを拡大するとともに、海外での販売も強化する考えだ。
山野正樹 社長
新製品は個人向けの「F16」と「F14」、法人向けの「Pro BM」と「Pro BK」。上位モデルが有する機能の多くを備え、使い勝手のよい製品に仕上げている。キートップの文字が消えにくいキーボードや、劣化しにくいバッテリなど長く使える工夫もこらした。
VAIOはソニー時代からハイエンドに重きを置いた市場戦略を進めているが、山野社長は「ユーザーが、PCに高い付加価値を求めるプロフェッショナルにとどまり、対象が極めてニッチになっている」点を課題として挙げた。より多くのユーザーにVAIOの価値を届けることや、販売ボリュームの拡大による製品コストの削減などを目指し、普及価格帯の製品展開に乗り出すことにした。
法人向けPCでは、テレワークの拡大などを受け、高性能な製品へのニーズが高まっている。一方で、予算の制約から低価格帯を選ぶ法人も多く、新製品が入り込む余地は大きいとみる。シンプルな製品であり、詳細な説明がなくとも顧客に魅力を訴求しやすいことから、間接販売にも向いているとみる。
山野社長は2023年5月期の業績について、売上高が前年同期比1.6倍で過去最高となる見通しを示した。好調な法人向けがけん引しており、その要因として山野社長はパートナーとの関係強化を挙げた。パートナー専用の営業部隊、バックオフィスを編成したほか、SIerのシステム提案にPCをセットして展開するスキームが奏功しているという。
(藤岡 堯)