インテルは6月14日、報道向けセミナーを開催し、AI戦略について説明した。半導体企業として責任あるAI技術の開発と、豊富な製品ソリューションの提供で、誰もが自由にかつ安全にAIにアクセスできる「AIの民主化」の実現を支援していくとの方針を示した。
大野 誠 執行役員
AIをめぐる現状について、執行役員の大野誠・経営戦略室長は、生成AIの登場が社会現象を起こしている一方、データセキュリティやプライバシー、信ぴょう性に関して課題が浮き彫りになっていると指摘。「当社は責任あるAIの実現のため、研究やプラットフォーム開発で、AIの透明性向上や脆弱性を軽減する取り組みを行っている」と説明した。
研究分野では、チェコのソフトウェア企業とAI共同研究所を設立しているほか、八つの大学と信頼性の高い分散型AIの技術開発に取り組んでいることなどを紹介した。社内にAI諮問委員会を設け、人権や公平性など六つの項目に違反しない研究や開発を行っているかどうか常に検証していることも示した。
ソリューションの具体例として、動画のディープフェイクを見破る「FakeCatcher」を紹介。見た目では本当の人間かフェイクか判断できない映像について、医療技術を応用し顔全体に流れる血流シグナルを測定し、フェイクかどうか96%の精度で判定できるという。
AI活用に欠かせない汎用的なGPUやCPU、アクセラレーターの製品展開については、多種多様な学習用と推論用の製品を提供していると説明。大野執行役員は「データセンターのみならず、エッジコンピューター、個人用PC、IoTデバイスに至るまで幅広いポートフォリオを提供していく」と述べた。
法人向け生成AIソリューションとして、エンタープライズの閉域環境で社内データを生成AIに学習させ、検索などができるエンジンを共同開発した例を説明。企業の顧客データを守りつつ、AIの利点をうまく活用する事例を展開していくとした。
(堀 茜)