バックアップ製品を展開する米Veeam Software(ヴィーム・ソフトウェア)の日本法人はパートナー施策の強化を進めている。9月に発表した日立製作所とのOEMサポート契約に基づき、高品質なサポートを提供する。また、7月にダイワボウ情報システム(DIS)とディストリビューター契約を結び販路を拡大した。日本法人執行役員副社長の大岩憲三・チャネルパートナー統括本部長は「国内ではエンタープライズの顧客が中心となっているが、パートナービジネスの強化を図ることでSMB(中堅・中小企業)顧客の獲得も進めていく」と力を込める。
(岩田晃久)
大岩憲三 執行役員副社長
日立と結んだOEMサポート契約は、ヴィームにとってグローバルで初となるという。日立のサポートサービス「日立サポート360」において、ヴィーム製品を活用したデータ保護に関する問い合わせを受けた際に、ヴィームのOEMサポートチームがバックエンドで日立と協力し、サポートを行う仕組みだ。
日立はこれまでもヴィーム製品を販売しており、サポートも提供してきた。従来との違いについて日本法人アライアンスセールス本部の宮原範征・本部長は「当社はこれまで設けていなかったOEMサポートチームをつくり、日立は営業体制をより整えるなど両社が投資を行い、組織をつくったというのが今回の協業であり、明確なコミットメントもある。両社できちんとお客様をサポートしていく」と説明する。両社のノウハウを共有するための定例会を開くなど、体制の整備を進めている。
宮原本部長は「エンタープライズでは基幹システムをはじめ止まってはいけないシステムのバックアップを取る際に、サポートを重視する傾向がある」といい、エンタープライズを中心にOEMサポートサービスの利用を見込む。今後は、そのほかのパートナーにもOEMサポート契約を拡大していく予定だ。
DISとのディストリビューター契約について大岩執行役員副社長は「DISは全国をカバーする販売網を持っている。当社は歴史が浅いことから地方での認知度が高くないため、DISを通じて地方のパートナーを開拓していきたい」と展望する。
ディストリビューターの数は、今回のDISが加わり、SB C&S、ネットワールドと合わせて3社となった。「国内でビジネスを展開していく上で、異なる強みを持つ3社がディストリビューターとなるのはベストな体制だと考えている」(大岩執行役員副社長)。
ヴィームでは、サービスプロバイダー向けの「VCSP(Veeam Cloud & Service Provider)プログラム」も用意。ヴィーム製品を用いて自社サービスが展開できるのを特徴としている。国内でも同プログラムを活用するパートナーは出てきているものの、グローバルと比較すると、利用するパートナーが少ないことから、従量課金制でコスト削減につながるなどのメリットを訴求していくという。
自社の営業体制においても、これまで注力してきたハイタッチ営業に加え、SMBの開拓を目的にインサイドセールスの強化を図っている。そのほかにも、医療や教育、製造といった業界に特化したソリューションの提供や、九州支社の開設なども予定している。