野村総合研究所（NRI）は、2024年4月1日付で柳澤花芽・常務執行役員が社長に昇格すると発表した。女性社長の就任はNRI初。此本臣吾・代表取締役会長兼社長は、24年6月下旬の株主総会・取締役会の決議を経て代表権のない取締役会長に退く。
 
　柳澤氏の選任について此本会長兼社長は「コミュニケーション力に優れ、関係役員の協力を取り付け、現場の社員とも積極的に会話するオープンマインドさで、迷わず前へ進んでいく」と評価した上で、「次期社長にはトップダウンではなく、チームの力を引き出せるリーダーが最適だと判断した」と話した。
 

　此本会長兼社長は16年のトップ就任以来、産業分野のSI事業や、豪州・北米での主にM&Aを通じた海外事業の拡大など、NRIが伝統的に強みとしている金融分野以外の事業領域を積極的に伸ばしてきた。国内外での事業領域の拡大に伴い担当役員や海外現地法人の経営陣などと密に意思疎通を図り、それぞれの分野のチームの力を引き出すトップ人事が欠かせないと判断したようだ。

　柳澤氏は、「社長1人で何かをするというよりは、担当役員をはじめとする経営チームが力を合わせて経営目標を成し遂げていきたい」と抱負を述べた。NRIは本年度（24年3月期）から3カ年中期経営計画をスタートさせており、初年度の連結売上高は初の7000億円の大台を突破する見込み。最終年度の26年3月期は8100億円の売り上げ、営業利益率17.9％を目標に据えている。

　此本会長兼社長は、「中計目標を達成できるよう経営チームの人事を今年4月1日に刷新したときに、中計2年目からは新社長の体制で臨みたいと考えていた」と話した。柳澤氏は1967年神奈川県生まれの56才。執行役員として中計や30年までの長期経営ビジョン「NRI Group Vision 2030」の策定にも参画してきた。
（安藤章司）