――2023年3月期までの4カ年中期経営計画では、18年度比で連結売上高は約1.3倍の6700億円、海外売上高は倍増の1000億円を目標に据えている。手応えはどうか。
23年3月期の通期売上高は6900億円の見通しで、かつ上期末までの6カ月間の海外売上高は進捗率6割を超える629億円だったため、手応えは十分にある。
この中計期間中には、コロナ禍の世界規模での大混乱があり、ほとんどすべての企業が対策に追われた。とりわけアナログ業務が多く残っていた国内ユーザー企業に向けて、当社はデジタル化の推進を積極的に働きかけた。この結果、混乱のなかにあっても何とか国内ビジネスの成長につなげることができた。
代表取締役会長兼社長
此本臣吾
――海外事業はどのような状況か。
オーストラリアの地場SIerを16年にグループに迎え入れたのが、当社のSI事業の海外進出の実質的なスタートだった。以降6年間、オーストラリア国内で計8件のM&Aを行った。オーストラリア事業と関連してニュージーランドと英国でもM&Aを行っているため、これを含めれば計10件となる。
コンサルティングやITソリューション、マネージドサービス、セキュリティなど、オーストラリアやニュージーランドで不足している事業ポートフォリオをM&Aによって補ったことで、オセアニア地域においては、新規をM&Aを行わなくても自分たちの力量で持続的に成長できる体制が整った。
北米でSI事業を本格立ち上げ
――米国の中堅SIerのCore BTS(コアBTS)を21年12月にグループに迎え入れ、SI事業で本格的な北米進出を果たしている。
オーストラリアの成功体験を北米でも生かしたい思いはあるものの、事業環境や産業構造が大きく違うため、北米ならではの事業戦略を検討している段階だ。足りない事業ポートフォリオがあれば新規のM&Aも視野に入れつつ、慎重に北米におけるビジネスモデルを組み立てていく。現時点では、地域に密着して、地場の中堅・準大手企業のデジタル変革を支える領域に成長の可能性を見いだしている。
――次期中計のスタートの年となる23年をキーワードで表すとすれば何か。
「DXの第二幕に向けた仕込みの年」としたい。クラウド移行や顧客接点のデジタル化を当社では「DX1.0」と呼んでいるが、コロナ禍の期間を経てDX1.0領域の需要は一巡したと見ている。DX第二幕は、業種横断のビジネスプラットフォームの構築などビジネスモデルそのものを変革するDX2.0領域の本格的な拡大、将来的には社会全体を変革するパラダイムシフトを想定するDX3.0に向けた準備を進めることが不可欠だ。DXの新しいフェーズを見据えて国内外での成長につなげる。