LegalOn Technologiesは4月9日、記者説明会を開き、さまざまな契約業務を一貫して支援する新しい基盤「LegalOn Cloud」を発表した。今後は、同基盤上に電子契約や案件管理、契約書のレビュー、契約書管理などのサービスを追加し、法務業務全般のDXを推進する。各サービスから収集したデータをAIがナレッジとして提供することで業務を効率化できる点が特徴。すでに200社を超える企業への導入が決まっており、同基盤で一連の契約業務を統合するニーズは高いと強調した。
(大畑直悠)
LegalOn Cloudは契約の締結前後のプロセスを統合し、大規模言語モデル(LLM)や機械学習といったAI技術で効率化する。将来的に他社製品との連携が可能になり、顧客は、すでに導入する製品を置き換えなくても利用できるようになる見込み。電子契約やAIレビュー、契約書管理といったさまざまな法務支援システムがベンダーごとに提供されている背景から、システム間の連携ができなかったり、データの保管場所が異なるために必要な情報を参照するのに手間がかかったりして業務が複雑化する課題を解決するとした。
角田 望 CEO
LegalOn Cloud上で提供するサービスの第1弾として4月25日に「ワークスマネジメント」と「レビュー」をリリースする。ワークスマネジメントは、案件ごとに関連資料やメールのやり取り、作成した契約書などを格納して一元的に集約した上で、AIが情報の整理やひも付けをする。新規案件の受付時には、比較すべき過去の類似案件や契約書をAIが提示し、生産性の向上やリスクの洗い出しを容易にする。
レビューサービスは、AIによる契約書のリスクチェックや体裁チェック、文書の作成を支援する。AIレビューの結果を基に同一画面上で契約書の編集が可能で、AIが推奨する修正案や弁護士が作成したサンプルとなる文章を参照しながら修正できる。文書の作成時には1500以上の契約書や社内規定などのひな形が利用可能。森・濱田松本法律事務所との業務提携をもとに、同事務所が監修したM&Aや国際取引に関するひな形なども拡充していく予定だ。
2024年夏には「コントラクトマネジメントサービス」を提供する予定。契約書のタイトルや契約開始日・終了日などを抽出して検索可能なデータベースにする。契約書の審査時の情報や提携に至った経緯、注意すべきリスクなどの情報も契約書にひも付けて管理できるようにする。また、24年中に法務業務に必要な情報を検索閲覧できる「リサーチサービス」とオンライン契約の締結を完結させる「電子契約サービス」も提供する計画だ。
拡販に向けてはパートナーとの連携を重視する。同社の角田望CEOは「これまで提供してきたAIレビューや契約書管理といったポイントソリューションに対して複雑なプロダクトになるため、顧客への提案時や導入後の活用支援などで、今まで以上にパートナーと協力して顧客に価値を伝えたい」と力を込めた。