米Dell Technologies(デル・テクノロジーズ)日本法人は4月10日、産学連携の推進で中堅・中小企業のDXを加速させるために、企業と大学などの学術機関のマッチングを支援する取り組み「DXイノベーションコネクト」を発表した。将来的には、このフレームワークを拡大し、さまざまな地域で産学連携を核としたエコシステムの立ち上げを目指す。
DXイノベーションコネクトは、中堅・中小企業がDXの実現に向けたPoC(概念実証)を進める上で必要となる専門技術を持つ大学や研究機関からサポートを受けるための仕組みを提供する。大学や研究機関の専門分野などの公開によって、最適な連携先と支援内容を決め、共同研究や学術的な指導を受けながら、先端技術のビジネスでの活用を共同で模索できるようにする。
諸原裕二 常務
同社が従来提供してきたデジタル人材の育成を支援する「DXアクセラレーションプログラム」だけではカバーできなかった、事業変革のPoCのフェーズまで支援の枠組みを拡大したことで、中堅・中小企業のDXの具現化を後押しする。また、コスト面でコンサルティングファームとの連携が難しかった企業が、共同研究を通して比較的コストを抑えて専門家の知見が活用できるようになるとした。研究機関側には、共同研究先の確保や、先端技術を社会実装する上で民間企業が抱える課題やニーズを把握できるなどのメリットがあると強調した。
現在参画する学術機関は奈良先端科学技術大学院大学の情報科学領域の七つの研究室で、AIやWeb3.0、IoT・センシング、VR・ARなどの分野に精通した研究者が在籍している。今後は、参画する学術機関の拡大を目指す。
常務執行役員の諸原裕二・公共営業統括本部長兼データセンターソリューションズ事業統括本部長は「この産学連携の仕組みを横展開し、自治体や金融機関も巻き込みながら各地で企業DXエコシステムを立ち上げたい。PoCを終えてシステムの構築まで至れば、パートナー企業との連携が必要になり、市場機会の拡大にもつながる」と今後の展望を語った。
(大畑直悠)