――2023年の市場動向、ビジネスの状況は。

　DXに向けた企業の投資意欲は旺盛な状態が続いていており、ITインフラ事業は堅調に推移している。当社はサーバー、ストレージで国内シェア1位を維持し、お客様やパートナーに評価していただいている。
 
――どんな分野に注力してきたか。

　重点領域は「マルチクラウド」「AIおよびデータ活用」「エッジ」「セキュリティ」「未来の働き方」の五つ。中でも、DXを支えるマルチクラウドの需要が高かった。この1年で顧客の動きが大きく変わり、クラウドファーストからクラウドスマートへ、複数のクラウドをいかに有効活用していくかが重視されている。マルチクラウドの相談が増えていることを受け、当社ではソリューションポートフォリオを充実させ、実装を加速している。

――マルチクラウドの需要が高まっている背景には何があるか。

　企業の最も重要な資産であるデータを完全に保護し、有事の際にビジネスの継続性を担保することが求められている。サイバーリカバリーのソリューションにも力を入れており、ユーザーやパートナーと一緒に進めていく機会が増えた。

生成AIの最適な価値を届ける

――23年は生成AIが大きな注目を集めたが、国内企業の取り組みをどうみているか。

　多くの顧客はプロジェクトを始動しており、カスタマイズされた大規模言語モデルをつくっていこうという企業が相当増えている。生成AIという生産性向上に圧倒的に貢献できるテクノロジーを、日本企業が持つ高い技術と組み合わせることで、幅広くスケールアップしていけると考えており、市場のポテンシャルは高い。

――企業の取り組みをどう支援していくか。

　セキュアな環境でビジネス効果を出すことが重要だ。データ活用のための最適なインフラストラクチャーを、機器だけでなくサービスの面でも提供していく。AI関連サーバーの引き合いは順調に増えており、いち早くお届けする体制が求められる。

――24年の方針は。

　五つの重点領域は変わらず継続する。マルチクラウドもAIも、実装・具体化というフェーズに入ってくるので、さまざまな企業との協業を強化していく。インフラ戦略はますます重要になる。データマネジメントやデータアナリティクスの基盤づくりでも顧客を支援したい。パートナーに対してスキルと提案力の充実を支援しながら、地道に実績を積み上げていく。キーワードは「進化」。当社の事業成長だけでなく、日本の社会全体の成長に一体となって取り組んでいきたい。