オンラインストレージサービスの米Wasabi Technologies(ワサビ・テクノロジーズ)日本法人は、本年度(2024年12月期)の売上高目標を前年度比60%増に据える。全世界で売上高が同比約6割増で推移しており、「国内ビジネスは全世界の伸び率と同等かそれ以上に伸びる可能性がある」(脇本亜紀社長)と手応えを示している。
脇本亜紀 社長
伸びている背景には、▽競合他社に比べての価格優位性▽国内販売パートナーが順調に増えていること▽底堅いバックアップ需要の取り込みと映像分野への積極的な進出―の三つが挙げられる。
価格面では下り転送課金やAPIリクエスト課金をなくして割安に設定し、販売面では直近で約200社の販売パートナーを年内300社に増やしていく目標を掲げて積極的に販路拡大に乗り出している。
需要面では猛威を振るうランサムウェア対策としてのバックアップ需要が拡大すると同時に、客先設置型のファイルサーバーの一部をクラウド化する用途での利用も増えている。下り転送課金がかからないため、「当社のバックアップ先から復元する訓練を行っても追加費用がかからない点もユーザー企業から評価されている」(同)。
加えて、防犯カメラや医用画像、映像メディア業界のオンライン保存先としての需要も積極的に取り込む。今年4月からは映像に映っている物体を認識してタグ付けしたり、文字に書き起こしたりするサービスを「Wasabi AiR」の名称で始めている。タグ付けは英語のみの対応だが、「需要動向を見て日本語を含む多言語化を検討する」(同)としている。
映像領域は取り扱うデータ容量が大きく、同社にとって売り上げ増につながりやすいこともあり、防犯や医用、メディアの各業界に強い販売パートナーを重点的に獲得してビジネスを伸ばしていく方針だ。
(安藤章司)