クラウドストレージサービスを手がける米Wasabi Technologies(ワサビ・テクノロジーズ)の日本法人は、映像やバックアップ、防犯カメラ、公共、医療などの業務や業種に強いビジネスパートナーを重点的に増やすことでビジネスを伸ばしている。2022年8月時点のパートナー数は5社程度だったが、現在は業務・業種に強いパートナーを中心に、公開しているだけで40社ほどに拡充。今後も従業員数500人未満の中堅・中小企業に販路を持つパートナーを軸の一つに位置づけ、間接販売チャネルの拡充に努める。
脇本亜紀 社長
映像コンテンツ制作や防犯カメラといった大容量の映像データを扱う業界への販売では、「アニメやゲーム、広告制作の業界、防犯カメラネットワーク構築に強いパートナーとの協業」(脇本亜紀社長)を通じてシェアを伸ばしている。
24年1月には米国本社が米GrayMeta(グレイメタ)の画像認識AIの事業部門「Curio AI(キュリオ・エーアイ)」の買収を発表。今春をめどにWasabiストレージ内に格納した映像データの内容を認識して検索可能な状態にするサービスを始める予定で、機能拡充にも取り組む。
中堅・中小企業の社内に設置しているファイルサーバーやNASを補完するストレージとしての需要も大きく「この領域に強いパートナーも継続して募っていく」(脇本社長)方針。
主力のクラウドストレージサービス「Wasabi」は、一般的なパブリッククラウド会社が提供するストレージに比べて最大で8割ほど安く、ネットワーク回線の利用頻度やAPI接続回数によって課金する従量課金の要素も極力排除している。年度ごとの予算が決まっている公的機関でも利用しやすいことから自治体に強いパートナーを開拓するとともに、ランサムウェア攻撃の標的になりやすいとされる病院に販売チャネルを持つパートナーと組んで、電子カルテなどのデータバックアップ用途での利用も推進している。
米国本社は世界13カ所でデータセンター(DC)を運営している。アジア太平洋では東京、大阪、シンガポール、シドニーの4カ所にあり、東京と大阪のDCはNTTコミュニケーションズの施設を利用している。
(安藤章司)