シフト管理SaaS「らくしふ」を開発するクロスビットは、本年度(2025年9月期)の新規顧客からの受注のうち、間接販売の比率が3割程度に拡大する見通しを示した。昨年度までは直販主体で事業を展開してきたが、「ビジネスをさらに伸ばしていくには間接販売チャネルの開拓が不可欠」(福山耕介・事業統括CRO)と判断。勤怠管理や人事給与、需要予測などの分野で強みを持つビジネスパートナーの獲得を積極的に進めている。
福山耕介 事業統括CRO
らくしふは、「LINE」と連携するシフト管理サービスとして3万件余りの事業所に納入の実績があるが、直販が主体だったため既存システムとのつなぎ込みなどのSIや、複数の関連システムと組み合わせた提案が手薄になっていた。シフト管理は勤怠や給与、需要予測などのシステムと密接に関係しており、この分野でのSIやソリューション提案を得意とするパートナーの獲得に力を入れている。直近では24年12月に人事給与システムなどを開発するパトスロゴス、25年2月にはクラウドインテグレーターのサテライトオフィスと販売代理店契約を結び、これまでに20社余りのパートナーを獲得してきた。
同社は、飲食店や小売店、物流倉庫、工場、病院・介護事業所などの就労人口の4割はシフト勤務をしていると見ており、うちパート・アルバイトが辞める理由のトップは「希望する勤務シフトを入れられない」(同)ことだと指摘。学業や子育て、親の介護などで働く時間が限られており、希望時間帯にシフトが入らなければ仕事を続けられない事情が伺い知れる。熟練度の高い従業員が離職すれば、それだけ生産性も下がるため、「シフト管理の最適化によって定着率を高めれば、売り上げや利益の向上につながる」(同)と話す。
ほかにも需要予測システムと組み合わせ、最適なスタッフ人数を配置することで、人員不足による機会損失や、人員過多による利益圧迫を減らすといったユースケースを想定。既存システムとの連携では、SIを得意とするパートナーの協力が欠かせず、SI案件やソリューション提案の商材の一つに、らくしふを採用してもらえるようエコシステムづくりに力を入れる。
既存ユーザーを業種別に見ると、飲食・小売店の比率が比較的高いが、「物流倉庫や病院・介護事業所などシフト勤務を行っている業種に強いパートナーとの協業」(同)によって、より幅広い業種への横展開を進める。
(安藤章司)