ピー・シー・エーは、年次イベント「PCAフェス2025」を7月25日に東京会場、8月7日に大阪会場で開催した。会計や人事労務といった基幹業務クラウドと、AIアシスタントを横断連携させる新構想「PCA Arch(アーチ)」を立ち上げ、これに基づく新サービスを年内に順次リリースすることを発表した。
佐藤文昭 社長
同社の佐藤文昭社長は、「AIを使えて当たり前という時代が既に訪れている。基幹業務とAIを融合してバックオフィス業務を効率化・自動化し、意思決定を支える」と強調。製品・サービスの新たなコンセプトとなるPCA Archは、人とサービス、情報をつなぐ「架け橋」を築くことを目指して名付けたと説明した。
同社が提供するさまざまなクラウドサービスにシームレスにアクセスできる「PCA Archポータル」を年内に提供する。ユーザーから自然言語で指示を受け付けるAIアシスタントを搭載し、複数の業務をまたぐかたちで、各種の機能やタスクを実行できるようにしていく。既に一部製品向けに提供を開始している、同社サービス共通IDの「PCA ID」や、帳票を保存・管理するためのクラウドストレージ「PCA Hub eDOC」などを基盤とし、その上に新たな機能を構築していく。
佐久間哲雄 取締役
同社取締役で、PCA Archの開発を統括する開発本部の佐久間哲雄・本部長は、「お客様は業務を効率化したいと考えているが、デジタル化の進め方が分からない、業務のマニュアル化が進まない、一人で多くの仕事を並行して行っているため、作業の管理ができていない、といった問題がある」と指摘。PCA Archのサービス開始後は、例えば勤怠の締めから、上長の承認、給与データの取り込み、特定社員のみに適用される経費精算の反映といったように、一連の業務をAIアシスタントが支援することで、中小企業のバックオフィス業務で課題となっている人手不足や属人化を解決していくとした。
年内に開始する新サービスとして「PCA Arch 財務経理」「PCA Arch 人事労務」「PCA Arch 販売管理」の三つの開発が進行しており、価格などの提供形態については決定次第追って発表される予定。
また、PCAフェス2025の会場では、パートナーが提供するPCA製品との連携ソリューションも多数展示された。建設ドットウェブは、建設業向けの原価管理システム「どっと原価3」を出展。工事原価管理を中心に、建設業特有の処理が求められる管理業務に対応し、PCA会計シリーズと連携しながらバックオフィスの業務効率化・標準化を推進する。アイアットOECのノーコード開発ツール「@pocket」は、ドラッグアンドドロップ操作だけで顧客・案件管理や、人事総務部門の集計・書類管理などの業務アプリケーションを開発可能で、PCA製品との連携で基幹業務の標準化と現場業務への最適化を両立できる。ITシステムの導入支援などを手掛ける企業しごとのしくみは、PCA製品に入力されたデータから重要な経営指標やアラートを通知する「本当に使える経営の数字」を出展。中小企業の経営者が直感的に理解できる表現で経営改善のアドバイスが得られる点がメリットとした。
(日高 彰)