ワークスアプリケーションズは9月25日、事業戦略説明会を開き、主力ERP「HUE」のロードマップを発表した。秦修CEOは、「2014年に業界初のAI搭載ERPを発表した際は困難があり、一度失敗したが、現在は再建を終え成長段階に入った」と述べた。
秦 修 CEO
同社は14~17年に製品開発が難航し、経営が悪化したが、18年から本格的な再建を進め、23年6月期に黒字化。25年6月期の売り上げは前期比14%増の115億円を見込む。HUEの新規ライセンス売り上げは22~25年にかけて年平均で79%成長し、顧客は500グループ・2400社に拡大した。
業績回復を受け、市場評価も上昇。米International Data Corporation(インターナショナル データ コーポレーション)の調査では国内中堅企業向け財務会計アプリケーション市場のリーダーに選ばれた。
今後のHUEについては、「ノーカスタマイズ」「無償バージョンアップ」という創業以来のビジネスモデルを堅持しつつ、AI機能の実装を加速させる。秦CEOは「このモデルにより、全ユーザーの業務データが規格化された状態で蓄積されており、AIの学習と活用に最適な環境が整っている」とAI活用に意欲を示した。
AI機能は段階的に拡充する計画で、25年6月時点で主要7機能に実装済み。26年夏には50機能に拡大し、入力やメンテナンスを不要にする。27年夏にはほぼ全ての機能にAIを搭載し、人間が介在しない「ゼロ・オペレーション」を目指す。
AI機能は保守料金の範囲内で対応する方針。ただ、利用が増えるほどAIベンダーに支払う金額が膨らむため、今後の様子を見ながら対応を検討するという。
同社は単なる自動化でなく、人間の思考を代替する「業務代替型AI」の実現を目標とする。AIは業務効率化だけでなく、利用者がより付加価値の高い創造的な業務に集中できるよう支援するものと位置付ける。また、AI活用を製品だけでなく導入や開発にも広げ、開発生産性を10倍以上に高めることを目指すとした。
(南雲亮平)