ドキュサイン・ジャパンは契約に特化したAIエンジン「Docusign Iris」を軸に、契約に関するさまざまなワークフローの高度化を支援する方針を打ち出している。10月2日に都内で開催した年次イベント「Docusign Momentum25 Tokyo」では、Docusign Irisを活用した機能の第1弾として、契約データを管理する「Docusign Navigator」の日本語対応を発表。竹内賢佑社長は、契約データを基に経営の意思決定を支援することで「ビジネスの羅針盤になる」と訴えた。
ドキュサイン・ジャパン
竹内賢佑 社長
Docusign Irisは、同社がこれまで契約に関するワークフローを処理してきた経験を基に開発。契約に関する専門知識を学習している点で、汎用的な大規模言語モデルと比較して、精度が高い点が特徴だという。米Docusign(ドキュサイン)のアラン・ティゲセン・CEOは「Docusign Irisは契約データから重要なインサイトを引き出し、ワークフローの中で活用できるようにする。契約の更新時期や更新する際に追加すべき事柄の有無、更新するか否かといった包括的な判断を支援する」と説明した。
Docusign Irisを技術要素とするDocusign Navigatorは格納した契約データから日付や条項などの重要事項を自動で抽出・構造化し、契約情報の検索や活用を容易にする製品。契約ライフサイクル管理製品で利用できる。今後は営業向けの契約ワークフロー製品「IAM for Sales」やエンドユーザーが利用する契約ワークフロー製品「IAM for CX」などにDocusign Navigatorを対応させる予定だ。
このほか、新機能として「Agreement Desk」などを公表。同機能では、営業や法務、経理の担当者のコラボレーションを支援し、契約案件の最新の状況を確認できる。契約に至るまでの交渉の記録を残せる点が特徴だ。
今後の販売戦略としてはインテリジェント契約管理基盤「Docusign IAM」の法務部門の支援にとどまらない、さまざまなユースケースを訴える。これまで注力してきた企業間の契約の支援だけではなく、自動車や金融といった企業と消費者の取引を支援する契約ワークフローの提供に力を入れる方針だ。
竹内社長は「BtoCの契約はまだまだ遅れている部分があり、本人確認のセキュリティーが国内で課題になっている」と紹介。本人確認ソリューションを展開するLiquidとの連携を深めるとした。
米Docusign
アラン・ティゲセン CEO
イベントでは富士通との戦略的提携をアナウンス。ティゲセンCEOは「販売パートナーとしてだけではなく、導入支援や利用範囲の拡大の部分でも一緒に活動したい」と期待を示した。引き続き、パートナーとの連携を強化する。ティゲセンCEOは「各社の強みに特化した支援をしてほしい」と呼びかけた。
(大畑直悠)