厚生労働省は、近く正式決定する「保険医療分野の情報化にむけてのグランドデザイン」を具体化するために、今年度の第二次補正予算編成で、620億円のIT関連要求を行う方針を打ち出した。

 このうち、臨床研修指定病院など地域の中核となる病院に電子カルテを導入する予算として495億円を確保したい考えだ。

 「確かに現状では、電子カルテの普及率は低く、このためシステム導入の費用が高く、リスクも大きいのが実状だ。そうしたなかで、先進的に電子カルテを導入し、病院内の業務改善に取り組もうとする病院に対して、厚生労働省としてできる限りの支援を行うことが、医療分野の情報化を促進する上で大きな意義があると確信している」(医政局研究開発振興課医療技術情報推進室・武末文男室長補佐)。

 第二次補正で要求している495億円を確保できれば、全国に364ある二次医療圏の中核的な病院全てに対して、電子カルテシステムを導入する費用(3億円程度を想定)の2分の1程度を補助できる見通しだ。

 電子カルテ導入のキーワードは「連携」である。情報を共有化することで、より質の高い治療を実現したり、検査などを効率化したりしなければ、電子カルテを導入する意味も半減してしまう。

 電子カルテ導入を機に、病院改革を推進し、各部門が密接に連携できる体制を構築することが求められているのだ。電子カルテの導入には、もうひとつ、非常に重要な目標が含まれている。今年6月に開発されたばかりの標準病名・コード、いわゆる「メディス・コードVer.2.0」の普及を図ることだ。

 「メディス・コード」はまだ、病院関係者の間でも十分には認知されていないが、厚生労働省では「情報化を推進する上で標準化は不可欠」(武末室長補佐)との認識で、積極的に普及に取り組む方針を明確にしている。

 現在要求している第二次補正で補助する電子カルテシステムも、もちろんメディス・コード対応であることが必須条件となる。

 医療分野では、レセプト(診療報酬明細書)の電子化を推進するために、世界標準の疾病分類コード体系「ICD10」が採用され、これまで普及が図られてきた。しかし、ICD10は死亡統計のためのコード体系を基に作られているために、例えば心肥大症という病気も、左室肥大という病気も、スポーツ心臓という病気ではない症状も、ICD10では全く同じコード番号が付与されている。

 もし、ICD10を電子カルテシステムに採用してしまえば、細かな病気区分をコード番号では識別できないことになる。電子カルテのデータから統計を取って臨床研究などに利用するといった活用方法が難しくなってしまう。

 このため医学的な観点から、電子カルテのためのコード体系としてメディス・コードが開発され、すでに国立大学病院、国立病院で医療情報システムを導入する際には採用することが決まっている。さらに、メディス・コードVer.2.0は、ICD10にも対応しており、電子カルテシステムとレセプト処理システムを連携できる仕組みも用意している。

 「昨年度の補正予算では医療分野の情報化で50億円の予算を確保したが、実際に医療機関が応募してきた額は10倍の500億円に達した。何とか工面して100億円に増額したが、補正予算の性格上、準備がすでに整ってすぐにでもシステムを導入できるところに配分された」(武末室長補佐)という。

 今回の第二次補正予算編成では、昨年度の10倍という思い切った要求を打ち出したわけだが、昨年度と同様に電子カルテやレセプトの電子化の準備が進んでおり、すぐにでも導入できる体制を整えている情報化に積極的な病院を優先的に支援していく方向だ。

 メディス・コードの詳細はhttp://www.medis.or.jp/。