会計などの講議も準備 マルチエンジニアを養成

■堅調な受講者の伸び

 効率的に社内エンジニアを教育するのであれば、全てを自社で行うよりも専門の企業に任せてしまえばいい。充実した講師陣が揃い、系統だった講座も用意されている。このように考えるIT企業は少なくない。教育に割く人件費がばかにならない中小・中堅規模の企業ではなおさらである。

 富士通ラーニングメディアは、“富士通”の3文字を冠しているとはいえ、特定の企業にとらわれないユーザーを擁するIT教育専門の企業として、数々の企業のエンジニアの育成・教育を行っている。

 受講者の80-90%は企業としての契約、つまり受講費は企業負担であるという。年間約8万人の受講者が同社を訪れる。そのほか、個別研修として、主に新人研修や職種転換を目的としたユーザー企業への派遣教育で年間約5万人の受講者をもつ。

 受講者数の伸びは堅調だ。最近では年平均10%程度の伸びを維持している。01年度はとくに新人研修のニーズが多く、前年比で50%増だったという。

 経済不況が今なお深刻であるとはいえ、企業は採用そのものを大幅に削っているのではない。また不況だからこそ、人材の教育に力を入れ、底力の増強を図ろうとする。さらに、新人教育そのものをアウトソーシングすることでコスト削減を狙う。

■主流はSE・プログラマー

 従来、富士通ラーニングメディアのような教育専門の企業を利用するのは、企業の情報システム部門などの専門部署が主流だった。

 ところが、企業の基幹システムがメインフレームからウィンドウズを中心としたC/S型のオープン系システムに移行するにつれて、IT教育は一般部門へも波及し始めた。

 ただし、受講者の主流はやはりSE・プログラマーが中心。年齢は25-30歳という、SEとして中堅にさしかかる時期の社員が教育を受ける傾向にある。最近人気のある講座はJavaやXML関連の講座。最新技術の修得には多くのIT企業が熱心だ。

 ベテランのSE・プログラマーへの教育に関してはどうか。一流になるには最低でも10年程度の経験が必要とされる。年齢は35歳前後だ。その年齢よりも上のベテランになると、技術系の修得はもちろんだが、プロジェクトマネジメントなど管理系資格の取得が主流になってくる。

 実際、仕事の現場ではプロジェクト管理の業務につくケースが多い。顧客企業との取引で自身のスキルを客観的に提示するには、資格の取得が必要とのニーズがある。また、資格の取得を促すことで、本当に業務内容を理解しているか、という確認作業の意味もある。そういう意味でPMPのような資格を積極的に取得させようとするIT企業は増えているという。

 「資格の取得は企業のステイタス向上に繋がるとの認識が一般的になってきている」(青山課長)。

 資格がない場合でも仕事は十分できる。プロジェクト管理などの業務も経験上自然と行っているケースがほとんどだろう。だが、青山課長の言うように、競合他社との差別化という点では、資格をもつ人材を多数揃えることは、企業の信頼感向上につながる。新規案件をはじめビジネスが円滑に進む場合が多い。

 もちろん、資格取得には系統的な学習機会が必要だ。このことは、管理業務に関わる資格だけではなく、マイクロソフトやオラクル、SAPなどのベンダー資格についても当てはまる。

■会計・法律などの知識も

 昨今のベンダー資格について青山課長は、「最初は珍しさも手伝って熱心に取得する受講者が多かった。しかし最近では、経験がなくても参考書を読むだけで取得できることが明らかになってきており、その効力は徐々に薄れる傾向にある」と指摘する。

 資格取得者が大幅に増大することも、資格そのものの有効性という観点からみればマイナス要因になる。

 とはいえ、「ベンダー資格は、そのベンダーの製品を扱う上での免許証的な位置づけでもある」ので、製品が売れ続ける限りにおいて、資格取得の動きがなくなることはないという。

 最近の傾向として、SE・プログラマーの育成に関し、必ずしも技術系の知識、経験のみが必要とされる時代は過ぎ去ろうとしている。

 富士通ラーニングメディアでは、4月からITの技術講習以外のコースとして、経営や会計、法律などの講義を行うビジネスプロフェッショナル研修を新設、経営者の観点からITシステムの構築提案が行える人材育成コースを開講する。従来、営業マンを対象に富士通系のディーラーや販社を中心に行ってきたが、ニーズの拡大に合わせ、開講に踏み切る。

 「一般的な業種・業務スキルと高度なIT技術の裏打ちがある人材が今、求められている」と青山課長は言う。