最大で48%引き下げ

 企業向けソフトウェアの世界で、従来の価格体系が成立しない事態が起きている。

 2月1日から、日本オラクルがデータベース製品の価格を大幅に改訂する。最大で48%引き下げという大掛かりなものだ。プロセッサライセンス価格を大幅改訂し、1CPUあたりのライセンス単価を製品ごとに一律に定めていく。ユーザーあたりのコストを大きく削減し、追加実行ユーザーライセンスの設定によってシステムの構築・運用におけるTCOの削減を実現する。

 この背景を新宅正明社長は、次のように語る。

 「今後3年から5年で、社会基盤インフラとして使われているコンピュータシステムや企業の基幹システムが、メインフレームからオープンシステムに置き換わっていくだろう。これにともない、ユーザー数が従来考えられなかったほど増大し、ユーザーとって値頃感がなくなってきている。ユーザー側から個別ディスカウントを要求されるケースが多くなってきた」

 データベース利用者のプロファイルが大きく変化してきたのである。

 これまで、データベースのユーザー数は、ある程度限られていた。しかし、ウェブを通してデータベースを利用するなど、これまでになかった使い方が出てきているうえ、メインフレームの置き換えとしてオープンシステムが活用されていけば、ユーザー数が従来のレベルとまったく変わってくることは容易に想像できる。

 この動きに対して、どう対応していくか。企業向けシステムを販売するソフトベンダーにとって、大きな変革期を迎えている。

 コンピュータ利用シーンの拡大に適した価格体系とはどのようなものになるのか。ベンダーにとって、従来では考えられなかった大規模システムを導入できるビジネスチャンスであると同時に、従来の価格では値頃感が出なくなることで、ビジネスモデルの変更を考えなければならないケースも出てくるだろう。

 日本オラクルは、今回の価格改定で、個別要求によるディスカウントに応じるのではなく、正規価格で割安感を出していく。

 「今回の価格改定を実施しなかったとしても、個別ディスカウントに応じなければならないことを考えれば、売り上げに対する影響はそう変わらなかったのではないか」と、新宅社長は中間決算説明会で強調している。

 定価引き下げを実施しなかったとしても売り上げに影響がないというのは、ユーザーの目に触れないメーカー直販や、SIerの販売する企業向け販売の世界での「価格」が非常にあやふやなものであることがうかがえる。

 それだけに、ディスカウントではなく、定価自体を変更する日本オラクルの方針がどう受け入れられるのか、非常に興味深い。

 日本オラクルが想定している大規模ユーザーとして、電子政府があがっている。政府系の調達に関しては、「1円入札」に象徴されるように、通常では考えられない価格での落札が起こり得る世界。実際に顧客に商品を販売するのは大手SIerだとはいえ、個別ディスカウントに応じるという形態の方が、官公庁には導入がしやすいのではないか。

 日本オラクルは米国に本社をもつ外資系ベンダーである。個別ディスカウントではなく、価格体系そのものを見直すのはきわめて米国企業らしい選択である。これを日本の官公庁は、どう受け入れるのだろうか。(三浦優子)