2000年に政府が打ち出したIT普及国民運動の一環として、2001年1月から推進されてきた「550万人IT講習事業」――。いよいよ、今年3月いっぱいで全国各地で展開されてきた事業も目標を達成して終了する見通しとなった。

 しかし、トータルで12時間程度の基本カリキュラムで実施されたIT基礎技能講習だけで、はたしてどこまでの技能を身につけることができるのか、疑問の声もある。パソコンの基本操作をマスターできず、自宅に帰ったら一人で操作できない人も少なくないだろう。

 02年度以降、国民の情報リテラシー向上のための施策をどう展開するか。

 総務省など関係省庁や地方公共団体などで昨年8月に設置した「住民へのIT機会の提供等のあり方に関する検討委員会」で検討を進めてきた。そして今年1月末に報告書をまとめ、引き続き連携を取りながら住民へのIT機会の提供を推進していくことになった。

 「IT講習事業を推進するために、市町村などの公民館や図書館にパソコンなどを設置したが、そこを拠点にして住民のITスキルアップニーズに応えられるようなIT基礎技能住民サポートセンター(仮称)を展開していく」(総務省自治行政局IT講習推進室・五十嵐哲也氏)。

 つまり、自宅や職場などに戻ったあとも、パソコンについて知りたいと思ったときに答えてくれる「ヘルプデスク機能」を設置しようというわけだ。

 もちろん、住民のニーズに応じて、引き続き基礎技能講習を実施したり、レベルアップしたITセミナーを開催したり、さまざまな住民支援も可能になるという。

 ITサポートセンターには、地域ITリーダーを配置していく。報告書では、この地域ITリーダーに求められる能力や研修のためのプログラム、能力チェックシートなどについても具体的な検討結果をまとめており、02年度からは各地域で地域ITリーダーの育成事業が本格的にスタートする予定だ。

 「今後、3年間程度をメドに、ITサポートセンターは1万か所程度設置し、ITリーダーは25万人程度が必要になると見込んでいる」(五十嵐氏)。

 パソコンなどが設置されIT環境が整備された公共施設は、公民館が約4600館、図書館など社会教育施設などを加えると、約7000館に達している。

 ITサポートセンターの設置は順調に進むと思われるが、問題は地域ITリーダーをどう確保するかだ。

 総務省では、02年度に地方交付税措置として150億円を計上し、ITリーダーの育成などIT基礎技能習得等住民サポート事業を展開していく計画だ。

 この地方交付税措置は、ITサポートセンターの運営経費とITリーダーの研修経費・人件費、IT講習経費をみている。想定されているITリーダーはNPO(非営利組織)、ボランティア、学生などである。

 しかし、01年度補正予算では、厚生労働省の要求で、緊急地域雇用特別交付金(3500億円)が創設され、対象となる推奨事業例のなかに「地域住民のIT活用能力向上のサポート体制を構築する事業」が加えられた。

 具体的なイメージとしては、都道府県または市町村が民間企業などに委託し、そこで失業者を臨時雇用し、地域ITリーダーとしてITサポートセンターに派遣する場合には、新しい交付金から補助金が支給される仕組みだ。

 パソコンやインターネットなどの利用の仕方がわからない場合、利用者はそれぞれの製品を供給している民間企業のヘルプデスクに問い合わせてきた。

 今後、公的なヘルプデスクが誕生すれば、全ての疑問を問い合わせることが可能になり、利用者にとってはかなり便利になるだろう。

 しかし、製品サポートは本来、供給者側の責任である。改めて、民の分担を検討する必要がありそうだ。