視点

本当のラストワンマイル

2002/03/04 16:41

 ADSL、ケーブルなどの普及で低価格のブロードバンド常時接続サービスが急速に広まってきたが、プロバイダを含め供給サイドにはもう一歩踏み込んで欲しいと思う。 家庭内で持ち歩けるタッチパネル式の安価な無線LAN組み込み型のインターネット端末とこれを基盤としたサービスによって、関連ビジネスの幅が大きく広がるのではないかと考えるからである。従来ラストワンマイルといわれていたサービスは、個人住宅をイメージすることが多かったが、家から部屋へ、家庭で生活する全ての人へのネットワークの広がりが、本当の意味でのラストワンマイルになるのではないだろうか。こういったコンセプトに基づく機器とサービスが市場に出てくると、コタツに入り家族で会話をしながら、または居間のソファーでくつろぎながらインターネット端末を使う光景が一般化するのにそれほど時間はかからないのではないか。

 キーボードもなく、ウィンドウズもいらず、電源を入れると瞬時に目的のホームページにつながる。銀行の振込み、クレジットカードの明細確認、ショッピング、チケット予約をはじめ、旅行、イベントなどあらゆる情報の入手など、これほど便利になったサービスの利便性をもっと多くの非IT人に感じてもらうことができる。2階建ラックにこれ見よがしにパソコンや機器を並べないのでスペースもとらない。サイトもタッチパネル用にリデザインすれば、パソコンの使いにくいインターフェイスから解放されて、便利なネットサービスを皆で使える。もし家に2台もあればもっと便利で、家庭内で利用する情報のやりとりも造作ない。

 IT不況だとか、パソコン販売が頭打ちの状況だとか言われるが、今やインターネット上にはありとあらゆるサービスがひしめいている。家族皆で、団欒の場で、違和感なく使える安価な環境さえあれば、マーケットは何倍にも広がるはずだ。情報家電ということで色々と新製品も出てきているが、iモードにしても無線ネット端末としての基本のうえに成り立っている。というわけで、せっかく普及しはじめたブロードバンド常時接続サービスのラストワンマイル、つまり家族団欒ネットワークサービスを是非実現して欲しいものだ。
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