HDDそのまま棄てないで!

<HDDそのまま棄てないで!>9.データ消去サービスの利用価値

2002/12/02 16:18

週刊BCN 2002年12月02日vol.968掲載

 これまでHDDの消去方法について解説してきたが、専用ソフトや機器を入手して作業するには、それなりにコストと手間がかかる。また、本当にデータが消えたかどうか確認することができないため、消去作業後も不安が残る。より確実な方法を希望するなら、HDDのデータ消去を専門に請け負っているサービスを利用しよう。

 データ消去事業者が行っているサービスは、PC/AT互換機やNEC98シリーズ、Macなど、HDDを搭載している機器全般を対象にしている。

 データ消去方法は、専用ソフトウェアを使ってのデータの上書き(書き込み回数も指定できる事業者もある)や、専用機器で電気や磁気的にHDDのデータを消去する方法など、ケースによって変わる。

 また、作業後に消去完了報告書や消去データ・チェックシートなどが発行され、さらに守秘義務(機密保持)に関する誓約書を提出する業者もある。このように、きちんとデータが消去されたことを証拠として残す事業者は信頼度が高く、特にお勧めしたい。

 基本サービスのほか、クライアントが指定した日時に専門家が派遣され、その場でデータ消去作業が行われる「出張」サービスや、機器自体をデータ消去事業者が引き取る「引き取り」サービスなどのオプションを用意している業者もある。「出張」サービスは、主にリース満了に伴う返却時に利用されているが、クライアントの目の前でデータの消去作業を行うので、データ流出の危険性が低く安心だ。

 廃棄を伴うデータ消去の場合は、主に「引き取り」サービスが利用される。これは、廃棄予定のパソコンをデータ消去事業者が引き取り、データの完全消去を行った後にパソコン廃棄業者への引き渡しを行うというサービスだ。廃棄予定の機器をそのまま廃棄業者に引き渡してしまうということは、データが残った状態で渡すことであり、とても危険だ。しかし、廃棄前に業者によってデータを完全に消去しておけば、データ漏洩の危険性も低くなる。

 このように、データ消去事業者のサービスを利用すれば、安全かつ安心してHDDを廃棄または譲渡することができるようになる。廃棄するPCに手間とコストをかけるのは…と、データ消去しないまま廃棄してしまい、その結果機密情報が漏れてしまったという事態を招かないよう、十分配慮しよう。

 次回は、パソコンメーカーなどの対応状況についてお話しする。(有限会社マイカ 取締役 井上真花)
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