ディザスタ・リカバリ指南

<ディザスタ・リカバリ指南 ~9・11からの教訓~>1 “対岸の火事”ではない

2003/01/06 16:04

週刊BCN 2003年01月06日vol.972掲載

 2001年9月11日、この日は世界中の多くの人々にとって、それぞれに意味をもつ日となってしまったことであろう。情報システム産業に関わる人間の1人として、事件後、いろいろなことが疑問となって浮かんできた。

 あの時、企業のネットワークや情報システムにはどのような被害があったのか。どんな影響が出ていたのか。それに対して、どのような対処がとられたのか。

 企業活動の再開に向けて、破壊された情報システムが復旧のボトルネックになってしまうようなことはなかったのか。システムに蓄えられてきた情報は、どうなってしまったのか。

 逆に、企業活動の再開に向けてITがどのように役立つことができるのか。

 そんなことについても考えてみたかった。

 IT業界や企業IT部門の多くの人も、私と同じような疑問や問題意識をもったであろう。

 米同時多発テロ事件以後、日本でも“Business Continuity”(ビジネスの継続)、“Disaster Recovery”(ディザスタ・リカバリ=災害からの復旧)という言葉を見聞きする機会が多くなった。

 とはいうものの、日本の企業経営者の多く、また情報システムに関係する人の多くにとっては、9月11日に起きたことは、やはり“対岸の火事”という感覚なのではないかとも思う。

 現実的に、自社のビルが倒壊するという事態に対して、万全の対策というのは不可能であろうし、9月11日の事件から日本企業が同様の事態を想定した対策をとるべきとも思わない。

 あの事件で甚大な被害を受けた企業が数多くある一方で、事件から数日のうちに情報システムを復旧し、業務を再開している企業もあった。

 その企業が「ビルに大型ジェット機が激突」という事態を想定して、情報システムの安全対策をとっていたとは思えない。

 しかし、他の企業とはどのような違いがあったのかを理解することから、日本企業にとっての教訓となることを多く学べるのではないかと考える。

 今回の連載を通じて、9月11日の事件を教訓に現代の日本企業の情報システムにとって、“ディザスタ・リカバリ”とは一体どのような意味を持つのか、そして、それにどのように取り組んでいくことが必要なのかを、みなさんと考えてみたいと思う。(コンピュータ・アソシエイツ テクノロジーディビジョンコンサルティングディレクター 宮下 毅)
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