視点

WSISに注目

2003/02/24 16:41

週刊BCN 2003年02月24日vol.979掲載

 世界が戦争の恐怖と同時不況に難渋しているにもかかわらず、IT技術は凄まじい勢いで発展しつつある。今や数世紀続いた工業社会からネットワーク社会に急速に移ろうとしている。45年前に読んだピーター・ドラッガーの「断絶の時代」などとは比較にならない程現実的なものとなっている。この1月のSQLスラマーの被害もさることながら、2月7日付ワシントンポスト紙に掲載された「Bush Orders Guidelines for Syber-Warfare(国家安全保障大統領令16号)」という記事に少なからず驚いた。

 この大統領令は、米国が外国のコンピュータシステムに侵入し、相手国のレーダー機能の遮断、発電施設の停止、通信回線の使用を不能にするなどの攻撃面のみならず、外国からのカウンターサイバー攻撃に備える防衛面も含まれる。このようなサイバー攻撃/迎撃は、核以上に慎重かつ適切な承認手続が必要となろうとのコメントもあった。ネットワーク社会の秩序、法律は世界が協調して新しく考える時が到来したように思う。

 そういう背景もあって、軍事面は別としても、新しいネットワーク社会の秩序は国家、国際機関だけで決めるものではなく、企業や市民という民間の声が反映されなければならない。私は今までGIIC、GBDeというような民間団体のアジア/オセアニアの共同議長として活動してきたが、今年は国連が主催するWSIS(World Summit of Information Society)という会合で、GIIC、GBDeを代表してお手伝いをしている。WSISは2001年12月21日の国連総会でサミット開催(03年12月ジュネーブ)が決議され、ITUなどが中心になり準備を進めている。

 今年1月13-15日、高輪プリンスホテルにおいてアジア地域準備会合が開催され、筆者も民間部門のオーガナイザーを務めた。海外を含めて7人の著名人に集まって頂き討議し、その結果を9項目にまとめ発表した。そのなかでとくに強調したことは、このような会議への健全なNGOの参加問題である。インターネットの発達により個人がエンパワーされている。このような市民団体の声は新しいネットワーク社会の秩序や制度を作るうえで必要である。このWSIS会合が始めた、政府、国際機関、民間、NGOという4者構成の会合が成功することを祈って止まない。
  • 1