世界が戦争の恐怖と同時不況に難渋しているにもかかわらず、IT技術は凄まじい勢いで発展しつつある。今や数世紀続いた工業社会からネットワーク社会に急速に移ろうとしている。45年前に読んだピーター・ドラッガーの「断絶の時代」などとは比較にならない程現実的なものとなっている。この1月のSQLスラマーの被害もさることながら、2月7日付ワシントンポスト紙に掲載された「Bush Orders Guidelines for Syber-Warfare(国家安全保障大統領令16号)」という記事に少なからず驚いた。
そういう背景もあって、軍事面は別としても、新しいネットワーク社会の秩序は国家、国際機関だけで決めるものではなく、企業や市民という民間の声が反映されなければならない。私は今までGIIC、GBDeというような民間団体のアジア/オセアニアの共同議長として活動してきたが、今年は国連が主催するWSIS(World Summit of Information Society)という会合で、GIIC、GBDeを代表してお手伝いをしている。WSISは2001年12月21日の国連総会でサミット開催(03年12月ジュネーブ)が決議され、ITUなどが中心になり準備を進めている。