ディザスタ・リカバリ指南

<ディザスタ・リカバリ指南 ~9・11からの教訓~>9 状況の監視

2003/03/03 16:04

週刊BCN 2003年03月03日vol.980掲載

 前回の“資産管理”に続いて、今回は“状況の監視”についてその具体的な内容を紹介する。まず、ディザスタ・リカバリのためになぜ状況の監視が必要となるかという点であるが、IT資産の稼働状況を把握することで、ディザスタの発生を事前に防ぐことが狙いである。リスクマネジメントの世界では、「大きな事故が発生する前には、必ずその予兆がある」というのが常識であり、そのわずかな変化を見逃さないことが、事故防止のカギである。

 前回紹介した4つの切り口、a.サーバーの監視、b.ネットワークの監視、c.データの監視(ストレージの監視)、d.デスクトップパソコンの監視について、どのような対策をとるべきかを検討する。現在の一般的な分散ネットワーク型のIT環境においては、そのような予兆を人間の目で発見するのは極めて困難であり、監視のためのツールが必要となる。

 市場にはさまざまなシステム監視のソリューションがあるが、変化を見逃さないという目的からすると、単にシステムの監視をして、異常を管理者に通知するだけでは不十分で、稼働状況を時系列のデータとして保管し、そのデータを分析できることが重要となる。コンピュータ・アソシエイツの統合運用管理ツール「Unicenter TNG」には、“ヒストリカル・パフォーマンス・エージェント”というサーバーの稼働を時系列で監視して、その内容をグラフで出力する機能がある。業務プロセスを軸にして、システムの稼働状況を監視するためには、その業務プロセスを完了するために必要なIT資産を串刺しにして見られる機能が必要になる。

 たとえば、受注処理という業務プロセスの監視をするために、“受注業務の担当者のパソコン”、“ユーザーが接続しているネットワーク・セグメント”、“構内のバックボーン回線”、“アプリケーション・サーバー”、“データベース・サーバー”などをひとまとめにした「受注業務監視ビュー(視点)」を作ることである。Unicenter TNGの“ビジネス・プロセス・ビュー”という機能では、監視対象となっているIT資産の中から任意に選択し、ユーザー独自の監視ビューを作ることができる。(コンピュータ・アソシエイツ テクノロジー ディビジョン コンサルティングディレクター 宮下 毅)
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