Japan STOCK

活発に売買する個人投資家

2003/07/14 16:04

週刊BCN 2003年07月14日vol.998掲載

東京市場の活況支える

 大活況が続く東京市場。東証1部の出来高は7月4日まで27日間連続で10億株超と最長記録を更新中。7月3日には21億株と驚異的な水準に膨らんだ。日経平均株価は7月4日には9500円台と4月末の安値7607円から25%の上昇に。

 「景気は良くなっていないのになぜ株価は上がるのか」「誰が買っているのか」といった疑問を持つ向きが多いので、今回の株価上昇の背景を整理してみた。

(1)世界的に景気回復期待…  

 イラク戦争の早期終結、大型減税、柔軟な金融政策を背景に、米国の景気回復は今年後半に早まることが期待されている。6月末のFOMC(連邦公開市場委員会)での利下げ幅は0.25%にとどまり、これが景気回復ムードを高めた。新型肺炎SARSの終息は、落ち込みが懸念されていたアジア景気にプラスに働く。こうした景気回復期待を支えに、債券に避難していた資金が株式にシフトする動きが日米を中心に強まっている。

(2)国内景気にも変化…

 7月1日に発表された日銀短観によると、大企業製造業の業況判断指数はマイナス5%と前回から5ポイントの改善となり、事前予想を上回った。

 金融不安の後退や株価上昇を背景に企業のマインドは回復に向かっている。景況感の悪さを理由に国内の機関投資家は株式投資に慎重だったが、この数字を示されて重い腰を上げざるをえなくなった。逆に株式を保有していないことに焦りを感じている機関投資家が増えている。04年3月期の企業収益は15%程度の増益見通しがコンセンサスだが、SARSの終息や企業の設備投資の回復傾向から5%程度上方修正される可能性が出ている。

(3)外国人が主導…

 今回の上昇相場を牽引したのは外国人投資家。6月の買い越し額は1兆円を突破。これは90年以降では10回目。米国株の上昇で運用資金に余裕が生まれ、リスク許容度が高まった資金が日本株に流入。 6月末からはNTTドコモ、トヨタ、NTTといった時価総額の大きな銘柄への外国人買いが目立ち、日本株への投資比率を手っ取り早く引き上げたいとの外国人の行動が読める。

(4)新しい投資家も参入…

 東京市場の株数ベースの売買シェアを見ると、個人投資家が40%台と外国人の20%台をしのいでいる。個人は株価水準の低い銘柄を指向することが背景だが、インターネットや携帯電話で手軽に株式取引が行えるようになった。

 1日に何回も売買するデイトレーダーを含め、活発に売買する個人投資家の増加が東京市場の活況を支えている。7月1日から売買手口情報が非公開になったが、逆に思惑を高める結果となり、短期売買は活発に。バブル崩壊後、大きな上昇相場は3回あった(1992年8月から93年9月、95年7月から96年8月、98年10月から00年4月)。3回を平均すると上昇期間は14か月で上昇率は55%。これを今回の相場に当てはめると、「来年4月に1万1800円」という数字が出てくる。(有賀勝久)
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