IT投資減税の適用を考えるうえで、減税対象となるハードウェアとソフトウェアの定義は最低限の必要な知識だが、それにともなう付随費用についても正しく判定できなければならない。IT投資減税の解説の最後として、ハードとソフトに付随する費用の取り扱いと、IT減税との結びつきについて説明していく。(日本パーソナルコンピュータソフトウェア協会(JPSA) 税務委員会委員長 税理士 根岸邦彦(監修))

 ハード、ソフトの本体価格だけでなく、付随費用は「取得に要したすべての費用」や、「事業の用に供するための費用」という規定により、期間費用でなく、固定資産の取得費として算入されることは以前に説明した。しかし、このような税法の規定よりも、世間の実情のほうが常に先行するのが世のならいである。コンピュータを導入するには、実にさまざまな費用がかかる。そこで、付随費用の代表的な例である(1)導入支援のためのコンサルティング費用、(2)導入費用、(3)システムの維持費用――の3つのIT減税の適用に関して解説していく。

 まず、導入支援のためのコンサルティングだが、システムを有効に活用するには、会社の業務を分析して、情報システムになじむようにする「システム分析」のような作業が必要になる。いわば、ビルを建てる時の「設計・監理」業務のようなものである。建設工事と同様に、開発の元請けが開発作業と一緒に受注するのが普通であるが、この業務をコンサルティングとして第三者に委託することも昨今は増えている。

 このコンサルティングの成果物が「ソフトウェア(プログラムとドキュメント)」となれば(特に設計書などで)、それは無形固定資産となりうるが、通常は単なる「役務の提供」として期間費用とされる内容が多い。

 この損金算入については、参考になる通達がある。「基本通達2-2-9」の「技術役務の提供に係る報酬に対応する原価の額」の説明がそれにあたる。この基本通達の内容を簡単に紐解くと、「毎月定額の固定費(コンサルティング元の給与や設備費に充当されるもの)」や「変動費(通信費、交通費、光熱費などに充当されるもの)」は、資産化する必要がないと解釈できるのである。よって、IT減税の適用とはならないのだ。

 次に、システムの導入費用だが、これは以前にも登場した狭い範囲での「事業の用に供するために支出」であり、「取得のための費用」である。ハードの現場調整費や、ソフトのインストール費などが挙げられる。これはあくまで「ハード・ソフトの稼動に必要な費用」であり、社内利用者に操作法を訓練する説明費やトレーニングの費用は、固定資産と直接関係がないので、期間費用となる。

 最後に、システムの維持費用は、これから問題となるであろう、理解が難しいカテゴリである。具体的な例を挙げると、データセンターに設置している場合の費用や、ハードやソフトの保守を外注先が「リモートメンテナンス」で行うための費用などのアウトソーシングにまつわる費用、ソフトの不具合や改良したい部分を定期的に整備するための技術者の委託費などである。

 これらの費用の処理判定は、「事実認定」という手続きとなる。要するに、「内容次第」ということである。固定資産としてのハードやソフトの取得費に該当しないものは、通常期間費用として処理することになる。その効果が数年に及ぶものは、場合によっては、「税務上の繰延資産」として「長期前払費用」に計上し、該当する期間分を月割りで期間費用に振り替えることもあり得る。