前号では、中国社会では急激にデジタル化が進んだ結果、消費者と直結した中国企業の中では、情報化投資に対する意欲が高まっていると述べた。現地にいると、これに呼応して欧米系ITベンダーの攻勢が以前に増して強まっているのを感じる。米ガートナーのデータクエスト部門によれば、中国のITサービス市場は2003年で49億ドル。5550億ドルの世界市場から見れば2%未満に過ぎない。それでも06年まで年率20%近い伸びを続ける。これはインドに次ぐ世界第2位の成長スピードだ。コンピュータベンダーにとって、この成長スピードが魅力になる。(坂口正憲)

 特にここに来て、中国での存在感が増しているのが「网格計算」(オラクル)だ。上海の街中でも同社の広告を至る所で見掛ける。企業が情報化に踏み切る際、最も重要なコンポーネントがデータベースソフト。世界的には業績が伸び悩むオラクルにとって、「中国は最も重要な地域の1つ」(日本オラクル関係者)になるわけだ。実際、オラクルは02年から対中投資を活発化させている。02年6月には、広州・深に研究開発センターを設立。中国のコンピュータメーカー、レジェンドと提携してサーバーのクラスタリング技術の研究開発に取り組んでいる。

 同時期には、中国語版の技術者向け支援サービス「Oracle Technology Network」もオープンし、すでに日本語版サービスを上回る数の登録技術者を獲得していると見られる。若手エンジニアの中でオラクル人気は高い。03年5月には、レッドフラグ・ソフトウェアとの包括的な戦略提携も発表した。レッドフラッグが提供する「紅旗Linux」は、中国政府が電子政府化の中で積極的に採用しているOS製品。その紅旗Linuxとオラクル製品を組み合わせたソリューションを提供していくのだ。サーバーのクラスタリング技術と豊富な技術者。そして中国語対応Linuxのサポート。この3つの武器を掲げて、オラクルは成長する中国のITサービス市場の先頭を走ろうとしている。強い意欲をヒシヒシと感じる。残念ながら、現地にいると日本のITベンダーからはそうした強い意欲はうかがえない。