2003年1-6月のIBM決算は売上高が前年同期比11%増、純利益は同2.5倍という大幅増収増益で、IBMは有力ベンダーのなかで独り、IT不況を脱出したようだ。IBMを「明」とすれば、UNIXベンダートップのサン・マイクロシステムズは「暗」の代表といえよう。03年6月期決算のサン売上高は前年度比9%減、ピーク時の01年決算に比べれば同37%という大幅減で、低迷が続く。

コンサル一体型ITサービス戦略

 IBMの決算内容を分析すると、売上増を支えるのは、従来ITの主戦場であった商品やサービスではないことがわかる。全く新しいサービスや商品がIBMの市場復活を支えている。従ってIT不況を克服するカギは、従来商品の需要循環のサイクル上昇でもたらされたものでないことに留意する必要があろう。IBMサービスで前年同期比66%という高い伸びを示すのは、PwCコンサルティング買収で強化したビジネスモデル転換の、トランスフォーメーションコンサルだ。企業ビジネスのeビジネス対応力強化や、市場変化に敏速に対応して変化する、いわゆるオンデマンド経営体への転換コンサル業務の売り上げが急速に高まっている。

 IBMはこのコンサルから企業にアプローチし、これに必要なITシステムを販売するという、コンサル一体型ITサービス戦略を採り、これが功を奏し始めた。またIBMのハード、ソフトで勢いを付けるのも、IBMが提唱したオンデマンド対応の新製品群だ。トランザグション発生量増減に対応して、プロセッサ数を従量課金で追加したり、削減できる「on-offキャパシティ・オン・デマンド型」のメインフレーム、UNIXサーバー、統合サーバーに強い市場からの引きが発生している。さらに複数のストレージを1台のように管理できる「仮想化技術」を強化したSANなどのストレージも大きな伸びを示している。またIBMが究極のアウトソーシングとして提唱した、電気、ガス、水道のような従量課金制のネットワーク・アウトソーシング、ユーティリティサービスも米政府機関、金融サービス、ヘルスケアで着実に契約を伸ばしている。

 ワシントンの米中央政府機関は、50億ドル(6000億円)という巨額でIBMとユーティリティ契約を締結した。IBMのeビジネスホスティングも30%以上の高い伸長を示し、これらはいずれユーティリティサービスへ移るとIBMは期待している。即ち企業システムの新しい需要は、トランザクションやビジネスモデルの変化に柔軟に対応できる「アダプティブ型IT」に集中している。これらは仮想化技術や自律型技術の強化によって、システムの複雑性排除という現行IT最大の問題点解決に立ち向うと、米大企業IT部門は期待する。

 IBMのサム・パルミザーノCEOは決算発表で次のようにコメントした。「IBMが当決算で自信を深めたのは、当社提唱のeビジネス・オンデマンドを市場が直ちに受け入れ始めたことだ。IBMは新しいIT潮流に乗り、高い成長軌道に乗ったと確信する」(中野英嗣●文)