中国ソフト産業のいま

<中国ソフト産業のいま>41.すでに始まった日本企業のBPO

2003/10/27 20:43

週刊BCN 2003年10月27日vol.1012掲載

 引き続き、中国でのBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)にこだわってみたい。米ヒューレット・パッカード(HP)のITサービス部門はこの9月、上海での金融サービスセンター開設に続き、中国ビジネスに約200万ドル(約2億2000万円)を投資すると発表した。オフショア開発やアウトソーシング事業に力を入れる。これまでHPは、この事業分野ではインドを中心に投資してきたが、中国も戦略拠点とし始めた。(坂口正憲)

 前々号で取り上げた米アクセンチュア、米ベアリングポイントなど、中国を全世界向けのアウトソーシング拠点とする動きが加速している。米調査会社のガートナーは、中国が2007年までにコールセンターやバックオフィス業務などアウトソーシング分野で270億ドル(約3兆円)を売り上げ、この分野でインドに追い付くと予測する。では、一般の日本企業がバックオフィス業務を中国にアウトソーシングする時代は来るのか。一般的な感覚では、「日本語がしっかり話せないオペレーターをコールセンターに採用するとは思えない」、「業務部門が海外にあったのでは、何か問題があった時に対応できない」となる。

 確かに、サービス品質にこだわる日本企業がコールセンターを中国に移転するとか、バックオフィス業務を丸ごと中国企業(もしくは日系サービス会社や現地子会社)に委託する可能性は低いだろう。多民族国家である米国などに比べて、言葉を中心とした障壁は高い。だが、バックオフィス業務の大部分は定型でデータ入力が主体。必ずしもネイティブな日本語が話せなくても構わない。海外にもアウトソーシングできる。

 実際、ある外食関連企業はFAXで入ってくる受注票のデータ入力を中国の現地子会社で一括処理している。日本で受信したFAXをイメージデータとして現地子会社に転送。現地スタッフが専用システムに入力・集計した結果は、日本の本社で参照できる仕組みだ。FAXだけでなく、電話の自動音声応答で受けた注文も現地子会社にデータ転送、日本語の分かる現地スタッフが処理している。日本企業のBPOは、まずこうした形態から始まる可能性が高い。
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