立ち上がるグローバルサプライチェーン ロゼッタネットの衝撃

<立ち上がるグローバルサプライチェーン ロゼッタネットの衝撃>20.ソニーの技術情報交換プロセスへのRN標準導入

2004/01/19 16:18

週刊BCN 2004年01月19日vol.1023掲載

 現在ソニーでは、設計開発プロセスでの技術情報交換にロゼッタネット標準の導入を計画している。また、パートナー企業からも技術情報交換の電子化・自動化への関心が非常に高くなってきている。パートナー企業との間で交換される技術情報として、開発部品の案内、納入部品の仕様書、CAD情報などがあげられ、特に最近では環境情報の収集の電子化・自動化が大きな話題となっている。ソニーのロゼッタネット標準を介した技術情報交換への歩みは図の通りである。

 即ち2002年度に新製品情報の情報提供に関する「Design Engineering Information Program(DEIP、ロゼッタネットマイルストーンプログラム)」に代表企業として「日本から初めてのPIP2A10の開発」に参加し、03年にはPIP2A10を利用したシステム構築と新製品情報について、パートナー企業14社とテスト運用を行っている。03年11月13日に恵比寿ガーデンホール(東京都目黒区)で行われた“ソニー・ロゼッタネットフェスタ”で、04年4月より同システムを本格運用することを表明した。

 ロゼッタネット標準でのメリットは、XMLで記述されたデータをMachine-To-Machineで人手を介さず、自社のデータベースに取り込みが可能な点であり、また他のXMLデータベースに簡単に接続利用できるので、効率的なデータベースの構築が容易にできる点である。実際のPIP2A10などによる技術情報の交換には、環境などの法規制に対応した、または部品群ごとの業界で統一された辞書及び相手と交換する情報内容(何を送るか)を取り決めたIDA(Information Distribution Agreement)が必要となる。

 そのため、ロゼッタネットジャパンでは、辞書グループおよびDEIPワーキンググループを中心に、ロゼッタネット標準を介した設計情報交換プログラムを立ち上げる予定であり、ソニーも積極的に参加していく。特に環境情報の交換は、06年のEC指令に適合させるために、環境汚染物質の含有量を原材料メーカーから、加工メーカーや部品組立メーカー経由で一貫して伝達されてくる必要がある。その際、ロゼッタネット標準のようなXML形式で機械的に自動交換されることが望ましく、最優先で実装していくことが急務である。また、全メーカーを網羅した体制・仕組みを構築していくためには、中小メーカーも利用できる安価なロゼッタネット標準による情報伝達の仕組みの出現が望まれる。(ソニーイーエムシーエス グローバルプロキュアメント本部 ロゼッタネットジャパン運営委員副委員長 内藤 紀明)

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