視点

南米のあるソフトウェア事情

2004/09/27 16:41

週刊BCN 2004年09月27日vol.1057掲載

 南米ウルグアイの首都モンテビデオ市にある会社が開発したソフトウェア自動生成ツールの世界大会が、6月中旬に同市で開催されたので参加した。このツールはウルグアイ国立大学の教授とその教え子が開発したものである。今はそれをビジネス展開にするために会社をつくり、教授が社長、教え子が副社長を務めている。大学発ベンチャーである。

 この大会は今年で14回目というから相当な歴史をもつ。会期は3日間。参加国は南米が中心だが、米国、カナダ、ヨーロッパも含めて30か国。参加者は2000人を超えているという。大会ではこのツールの現状、開発状況、利用状況、課題、将来計画などが、開発側とユーザー側から合わせて120件報告された。筆者は特別に頼まれて日本のソフトウェア事情について基調講演をした。会場には展示会が併設されており、このツールを用いて開発された様々なソフトウェアが30のブースで展示され、多くの人で賑わっていた。

 たった1つのツールをテーマにした大会に、国内外から2000を超える人が集まるというのは驚きである。国際学会でも1000人規模のものは多くないであろう。報告は3つの部屋に分かれて並行して行われたが、使われた言語はほとんどスペイン語だった。英語を用いたのは筆者も含めて数人だったと思われる。1部屋だけに英語への通訳があった。

 今まで参加した国際学会では、言語はすべて英語であったので、今回のようにスペイン語で堂々と議論する雰囲気に圧倒された。ブラジルで使われているポルトガル語とスペイン語は同類と考えると、中南米のスペイン語圏は広大となる。これらの国々がスペイン語という共通の言語を軸にして結束すれば、強力な経済圏が誕生するかもしれない。

 現在、このツールは南米を中心にして、世界30か国で3万ライセンスが販売されている。隣国のブラジルとアルゼンチンが最大の顧客である。国も支援している。人口が300万人に満たなく、資源にも乏しい小国が、頭脳で作り出した知的資源で世界を相手にビジネスを展開しているのは立派である。翻って同じく資源のない日本はどうか。海外に出せるような知的資源はほとんどないのが実情であろう。海外といえば、ソフトウェアのオフショア開発くらいしか頭にないようである。何という意識の違いであろうか。
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