情報化新時代 変わる地域社会

<情報化新時代 変わる地域社会>第32回 秋田県秋田市(下) 業務効率化に向けた庁内IT化の布石

2004/12/20 20:43

週刊BCN 2004年12月20日vol.1069掲載

 秋田県秋田市では、ユーザビリティを追求したホームページを作成するため、「ホームページ作成ルール」を策定している。このルールに基づき、それぞれの課がホームページのコンテンツを制作する。これで、課ごとのより詳細な情報を提供できるようになった。また、ITの知識をもつ人材を各課に配置することを目的に、「電脳中核人」と呼ばれるITリーダーを育成している。ITリーダーの育成は、業務効率化を狙った庁内のIT化にもつながっている。(佐相彰彦)

共通ルールでホームページを作成 各課に「電脳中核人」を配置

■コンテンツ制作は各課が担当

 秋田市のホームページは、庁内のIT化を推進する情報政策課だけが携わっているわけではなく、各課が制作および運営を担当している。これは、「市民に、より詳細な情報を配信するため」(北嶋英樹・秋田市企画調整部情報政策課情報化担当主席主査)。

 市の情報は、職員のためにあるのではなく、市民のためにある。情報政策課に各課の情報を集めてホームページに掲載するよりも、各課が情報を随時掲載した方が、スピーディに配信できるというわけだ。

 しかし、各課にホームページ制作を任せた場合、ある課のページでは画像を多く使って表示が遅くなるなど、ユーザビリティを無視したサイトになる危険性がある。

 そこで、タグの書き方など、共通のルールを策定。各課がそのルールに従って制作するようにした。情報政策課はルールに即しているかをチェックしてホームページを更新する。

 ホームページ作成ルールでは、(1)フレームを使わず、基本的にHTMLで記述する、(2)アナログ回線を利用している市民を考慮し、画像を極力使わない、(3)情報を的確に伝えるためにデザインセンスを排除──などが決められている。

 このルールは、項目を細かく決めて情報政策課が管理しやすいホームページを作ることが狙いではない。あくまでも、市民が利用・検索しやすいホームページの作成が目的だ。したがって、「あまり細かい点にまで決まり事をつくるのではなく、各課がホームページを制作しやすいように策定した」という。

 また、「ルールに従って、誰でも簡単にホームページが作成できるようにした」と、〝説明書〟の役割も果たすという。そのため、情報の内容に関しては一切記述していない。ホームページ作成ソフトは、日本アイ・ビー・エム(日本IBM)の「ホームページ・ビルダー」を使った。

■ITが浸透する環境づくり

 もちろん、職員が簡単にホームページを作成できる〝説明書〟を策定したからといって、各課が自発的にホームページを作るとは限らない。

 そこで、秋田市では各課にITリーダーを配置するために「電脳中核人」の制度を採用し、ITに関わる人材育成に力を注いでいる。

 北嶋主査は、「一般的なIT研修は、講師の話やパソコンなどの操作説明を聞いて終了というケースが多い。これでは庁内のIT化を促進させ、業務効率化などに結びつくとはいえない」と話す。そこで、「自分の課で生じている問題をITを切り口に解決したいという職員に、さらにITの知識を身につけてもらう。その人を中心に各課のIT化を推進する」として、1課に1人以上のITリーダーを配置した。

 電脳中核人は、ホームページの制作リーダーになることに加え、課内のIT推進やIT教育、トラブルシューティングなどすべてを任される。資格取得のためには、養成研修講座を受講し、テストに合格しなければならない。講座は、ウィンドウズの入門からネットワークに関する講義など約10項目。これを4か月かけて受講する。テストでは、ITの活用で改善できる庁内の課題など、実践を中心とした問題が出題される。

 講師は、「庁内で抱える課題を踏まえた講義を行う」という点から、各課の職員が担当。「めぼしい人材を〝一本釣り〟で選定した」という。情報政策課と講師で何をどのレベルで教えるかを徹底的に議論し、養成研修講座を完成させた。

 電脳中核人の合格者は、今年11月時点で136人。「庁内のパソコンやシステムの管理ができるようになった。また、グループウェアを迅速に導入できた」などの効果が出ている。さらに、「電脳中核人同士のつながりが強く、情報共有など課を越えた連携の強化も図れている」と、想定外の効果も表れている。

 情報政策課の役割については、「行政ネットワーク全般の管理を行うことも重要。しかし、情報化に向けた取り組みを庁内に浸透させることも使命」と、全庁で電子自治体の早期実現に向けた体制整備を実行している。
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