フレッシュマンセミナー ITの常識

<フレッシュマンセミナー ITの常識>1.M&A(企業の合併・買収)

2005/04/04 16:04

週刊BCN 2005年04月04日vol.1083掲載

 M&A(企業の合併・買収)は、いまでこそライブドアなどに代表されるIT企業が話題になっているが、日本でも実は事あるごとに注目されていた。

 例えば、1970年の八幡製鉄と富士製鉄の合併で新日本製鐵が誕生したこと、その後銀行同士が相次いで合併したことなどがそうだ。IT業界でも、米ヒューレット・パッカード(HP)のコンパック・コンピューター買収、ソニーのMGM買収、オラクルのピープルソフトやレイテック買収など、かなりの件数である。

 本来、M&Aの狙いは、企業が生き残りをかけて同じ業種内で合併したり、新しいビジネス展開を目指して買収する、などであろう。現実的には、株式や営業権の譲渡などまで含めて行われる。こうして、順調にいっている例は、早期の上場で巨大な資金を調達してきたネットビジネス大手などにみられる。

 一方、敵対的買収という面にも関心が高まっている。昨年の経済産業省の調べでは、85%以上の企業がM&Aに対し脅威を感じていたという。こうしたことから、企業防衛に向けた対策が重視されつつあるようだ。

 M&Aは、米国では日常茶飯事といわれる。数年前、ネットワークのビッグイベント「ネットワールド+インターロップ」を海外で取材した時のことだ。会場にはスタートアップシティと呼ぶコーナーがあり、わずかのスペースで得意の技術をアピールする“できたて”の会社がいくつも軒を並べていた。そこである代表者は、「本音をいうと、会社自体の成長よりも、この技術を会社もろとも大手に買ってもらいたいんだよ」と話していた。

 いま、話題は大企業にあるが、中小企業のM&Aも進みつつあるようだ。そして仲介を行う商工会議所やコンサルタント会社なども出てきている。M&A関連市場自体が新たに育つかもしれない、ともいう。(真実井宣崇)
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